「貴乃花親方は協会をぶち壊すのか、それができなければ自分から辞めるつもりなのか。昨年の九州場所あたりから、何を考えているのかわからなくなっていた。頑なな態度を取るようになり、同じ一門の先輩で、親しい阿武松親方の言うことにも耳を貸さなくなっていた。それまで出席していた同期会にも出席せずに、孤立している」
ある相撲関係者はそう言って眉をひそめる。混迷を極める日馬富士(33)による貴ノ岩(27)への暴行事件。当初、加害者の日馬富士に非難の矛先が向かっていたが、無言を貫く貴乃花親方(45)を問題視する報道が見られるようになった。
そんな四面楚歌の状況でもブレずにいられるのは身近に2人、心の拠りどころとなる人物がいるからである。ともに事件後、貴乃花親方と連絡を取り合っている。本誌は、そんな騒動の核心を握る2人を直撃した。
1人めは京都の龍神総宮社・辻本公俊祭主(65)。10年前から大阪場所の際に宿舎を提供し、化粧回しを贈ったり、千秋楽パーティを取り仕切るなど、公私にわたって支援している。
「事件が発覚してすぐに、心配やから『大丈夫か?』と電話したら、『迷惑かけて、お騒がせして、すみません』と。だから『迷惑かかってへんで。みんなも大変やけど頑張りや』と言ったよ。
いちばんかわいそうなのは弟子たちや。肩身が狭いと思う。親方は、“忍”の一字をわかってる人。自分の意思を貫いとるんやから立派なもんや。
貴ノ岩は10針縫っとるのに、どっちが被害者かわからんようになっとる。親方のことは長らく見とるけど、寝ても覚めても相撲のこと、協会のことばかり考えてる。親方は相撲協会を改革するために、率先して憎まれっ子になっとるんよ」
もう一人は、鹿児島・最福寺の池口恵観法主(81)。2015年3月、約1600人の参加者を集めておこなわれた貴乃花一門の後援会設立に奔走した人物。引退した弟子の就職の世話をしたり、貴乃花親方に護摩行指導をするなど、物心両面で拠りどころとなっている。
「事件発覚後の17日、次の言葉を貴乃花親方にメールしました。『横綱とは何でしょう。本来は、だれにも負けない強い強い力士のことです。誰よりも負けてはいけないのは、自分自身であります。しかし、日馬富士関は、我を忘れて後輩を殴りつけたのです。己に負けた横綱には、土俵で闘う資格はない。このことを、関係者はしっかりと認識すべきだ』と。その後、親方から『しっかりと教えを守って頑張ります』と返信がありました」
指南役の言葉を胸に親方が起こした反乱の結末はいかに。
(週刊FLASH 2017年12月12日号)