スポーツ
“ノーノー投手”広島・大瀬良大地が明かす偉業達成の原動力「妻のネバネバ丼で粘り強く投げました!」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2024.07.02 06:00 最終更新日:2024.07.02 18:37
防御率0.87でリーグトップを走り、29回連続無失点中の広島東洋カープ・大瀬良(おおせら)大地。好投の原動力を問うと、「家族」と即答した。
「最近、長女が生まれたので、またがんばらないといけないなと。長男は2歳と1カ月を過ぎたところで、僕が野球をやっていることなどを少しずつ理解し始めています。僕は投手のことを『エイ』(力を込めるかけ声)と表現していて、『エイしに球場行くね』と言うと息子が喜んでくれたり、CMでカープが映ると楽しそうにしたりする姿は、見ていて非常にほほえましいですね」
【関連記事:広島V3監督・緒方孝一氏が断言「カープが再び台風の目になる!」】
チームが7年ぶりに勝ち越した交流戦では、3度登板し無失点。圧巻は、6月7日のロッテ戦でのノーヒットノーランだ。史上90人めの大偉業だが、当日の朝は「特別、体調がよかったわけではなかった」という。
「睡眠時間が1~2時間、長かった程度ですね。ただお昼に、たまたま『ネバネバ丼』を食べたんです。納豆や山芋をかけて。ふだんは豚の生姜焼きと白ご飯ですが、その日は妻が『ネバネバ丼』を作ってくれた。だから粘り強く投げられたんですかね(笑)」
試合前に豚の生姜焼きをよく食べるという大瀬良。ほかにルーティンはないのだろうか。
「ウォーミングアップとかはありますが、『これをしないと絶対ダメだ』みたいなものはないんです。忘れっぽいので、いっぱいルーティンを作って忘れてしまったら動揺しそうだから、できるだけ少なくしたいんです」
同日のプレーボール後、投げ始めたときの感触は?
「よくもなく悪くもなく、いつもどおりの感じで入りました。今季は初回の球数が多い傾向があるので、『球数を少なく』という意識があって、その日の1回は11球で終えられた。いつもより少ないと思っていたら、2回に30球使ってしまって。でも、そこからはいろいろな球種をストライクゾーンに投げて打たせることができ、野手に守ってもらいながらアウトを積み重ねていきました。じつは突出してよかった球種はなく、どれも60点くらい。すべてのボールを同じ気持ちで投げ込めたのが逆によかった。相手は的を絞れなかったはずです」
「ノーノー」達成の直前に訪れたピンチは、仲間に支えられて乗り越えたという。
「9回表のツーアウトから四球を2つ連続で出した後、マウンドにみんなが集まってくれました。田中(広輔)さんが『緊張しているかもしれないけど、守っているみんなも緊張しているからしっかりがんばれ』と言ってくれたり、アツ(會澤翼)さんが『あと(アウト)1個がんばれ』とボソッと言ってくれたりと、それぞれの声のかけ方をしてくれて落ち着けました。うちらしい光景でしたね。じつはその田中さんには、直前の8回裏に僕の打席が回ってくるとき『お前まだ投げんの』と聞かれていたんです。田中さんはノーノーが続いていることに気づいていなかったみたいで。『いまノーノー中だよ』と自分で言うのも変だし、『まあまだ投げますよ』みたいに答えたんですが、どういう気持ちでその言葉を投げかけているんだろうと(笑)。心のなかでは『いやいや、行くでしょ』と思っていました。直後に態度を豹変させたのもウケますよね」
偉業を成し遂げた大瀬良だが、むしろお祝いには困らされているという。
「バッテリーを組んだアツさんからは、生まれた娘のぶんとノーノーのぶんと2つもらいました。ただ、ホールインワンと一緒で、『ノーノーしたやつがまわりに御礼をもってこい』と先輩たちに言われて(笑)。本気で言っているのか、冗談なのかわからないので、まわりの感触を探りつつ、何を贈るかを考えています」
こう笑う大瀬良だが、デッドボールを受けても笑顔で応えたり、ダウン症を抱える弟を大切にする姿から、「ぐう聖」(「ぐうの音も出ないほどの聖人」の略)の愛称で呼ばれる。腹が立つことのひとつやふたつ、ないのだろうか。
「あまりないんですよね。苦手なものは、虫です。ゴキブリが出たらしんどい。妻に『ちょっと(捕りに)行って』と言うと、『私も無理よ』と(笑)。『でも俺も無理』という感じで、言い合っています」
マイペースな聖人の粘投で、現在首位のチームを、6年ぶりのリーグ制覇へ導いてほしい。