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平成の「日本シリーズ名勝負」心が震えた瞬間(1)

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2017.12.20 16:00 最終更新日:2017.12.20 16:00

平成の「日本シリーズ名勝負」心が震えた瞬間(1)

 

 2度の日本一を経験した元ロッテ里崎智也氏(写真左)と野球ライター・キビタキビオ氏が「平成の日本シリーズ」を振り返り、名勝負ベストナインを選出する!

 

キビタ(以下キビ) 里崎さんは日本シリーズに2度出場されてますが、どちらが印象に残っていますか。

 

里崎 最初に出た2005年ですね。

 

キビ ロッテは31年ぶりの日本シリーズ出場。この前がカネやん(金田正一)が監督だった1974年ですよ。

 

里崎 自分、まだ生まれてないわ。

 

キビ 長嶋さんが引退した年です。日本シリーズってどんな感じですか。

 

里崎「楽しい」しかない。だって2回出て2回とも勝ってる。負けてないから。

 

キビ 特に2005年は4連勝で。※1

 

里崎 じつは日本シリーズに出られただけで満足していた部分もあったんです。初めての経験だったし、シーズン2位からプレーオフで出たからね。※2

 

キビ 相手の研究はしますよね。

 

里崎 するけど特別な感じじゃない。普通の試合と同じ。もう交流戦も始まってたしね。

 

キビ 10年のときは中日が相手でもつれにもつれました。※3

 

里崎 このときもね、「負けたってどうってことない」って気持ちだったんです。だってシーズン3位ですよ。※4
 プレッシャーもない。よく「負けたのは勝ちたい気持ちが弱いから」って言うけど、あれは噓ですよ。だって2005年の阪神も2010年の中日も勝ちたい気持ちは自分らより絶対に強いはずだから。

 

キビ「3位には負けられない」と。

 

里崎 そういうこと。

 

キビ クライマックスシリーズ(CS)でも1位のチームのほうがプレッシャーがかかるって言いますもんね。2001年以降の日本シリーズではセが5勝、パが11勝。パはなんで強いんですか。

 

里崎 最大の要因はくじ引き。ドラフトですよ。いい選手がことごとくパ・リーグに来てますから。マー君、ダルビッシュ、大谷。松坂だってね。

 

キビ マー君といえば、2013年は神がかってました。シーズン負けなしの24連勝ですから。

 

里崎 1点差2点差で負けていても投げ続けて終盤で逆転、ということが何度もあったからね。完投能力があるからこその大記録。

 

キビ 日本シリーズでは1敗しましたが、やはりマー君あってこその日本一。

 

里崎 2005年に球団できてたった8年ですよ。あんな弱かったチームが日本一になるなんて誰が思いますか。僕ら「あんなチームに負けたらダメだ」と思ってやってたんですから。

 

キビタ(以下キビ) 2007年中日の山井投手が8回までパーフェクト、9回に岩瀬投手に交代したのは論議を呼びました。“里崎監督” ならあの場面はどうしました。

 

里崎 あれが第1戦とかならそのままでしょう。でも日本一がかかった試合だから。要は落合監督の山井に対する信頼度の問題だと思うんです。川上憲伸さんだったら替えないでしょう。つまりあの時点では山井に対する信頼 度がそこまでなかったと。※5
 しかし、あそこで行く岩瀬さんもキッツいですよね。

 

キビ 日本シリーズでは監督采配もクローズアップされますが、実際には監督によってそんなに違いますか。

 

里崎 いやいや、実際にやるのは選手ですから。選手がやることやらないと監督も何もできないわけです。ちょっとマスコミが話を作りすぎなんです。

 

キビ 2005年のボビー※6 はどうでしたか。

 

里崎 言われたのは金本さん対策だけ。セ・リーグでは全然インコースを攻められてないから、第1戦の金本さんの全打席の初球は必ずストレートをインコースに投げろと。それだけです。実際、ほとんど打たれていない。 

 

※1 相手は阪神。10-1、10-0、10-1、3-2で圧勝。総スコアは「33-4」
※2 パ・リーグで2004年から導入。2007年からは両リーグで導入しCSに
※3 7戦中3戦が延長。第6戦は延長15回で引き分け
※4 リーグ3位からの日本シリーズ出場は現在までこのロッテだけ。「史上最大の下剋上」は里崎氏の発言から
※5 山井はこのシーズン6勝4敗、防御率3.36。岩瀬は43Sで3年連続40Sを達成していた
※6 ボビー・バレンタイン監督。1995年、2004~2009年にロッテを指揮

 

里崎智也
1976年徳島県生まれ。捕手として1999~2014年までロッテひと筋。2006年WBC代表で世界一に貢献、ベストナインに選出。現在は解説者、ロッテのスペシャルアドバイザー

 

キビタキビオ
1971年東京都生まれ。野球を軸足とするフリーライター兼編集者。人呼んで「炎のストップウオッチャー」。NHK『球辞苑』に編集委員としてレギュラー出演中

(週刊FLASH DIAMOND 2017年11月10日増刊号)

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