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【50‐50クラブ】大谷翔平、MLBで新次元の集団立ち上げ…野球史でこの数字が持っていた「違う意味」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2024.09.20 19:45 最終更新日:2024.09.20 19:45

【50‐50クラブ】大谷翔平、MLBで新次元の集団立ち上げ…野球史でこの数字が持っていた「違う意味」

50号本塁打をレフトスタンドに叩き込んだ大谷翔平(写真・アフロ)

 

 MLBの長い歴史の中で誰も達成できなかった、50本塁打・50盗塁。大谷翔平選手が史上初めてこの記録を達成した。しかもこの試合で51-51まで伸ばし、6打数6安打10打点とまるで通過点とでも言わんばかりの大活躍だった。

 

 これまで、MLBでは1シーズンに40本塁打以上と40盗塁以上を同時に達成した選手の集団のことを「40−40クラブ」と呼んできたが、大谷選手は「50−50クラブ」を創設。現地メディアもこの新次元の概念をこぞって喧伝している。

 

 ただ、古くからのMLBファンにとって、「50-50」は別の意味も持っているかもしれない。1998年、ヒューストン・アストロズの二塁手として活躍していたクレイグ・ビジオが、「50-50」を達成した。MLB史上2人目の快挙だった。もっとも、彼が達成したのは、50二塁打・50盗塁である。最終的には51二塁打、50盗塁でシーズンを終えた。

 

 当時、アメリカでは異次元の記録としてかなり話題になった。というのも、一般的に盗塁のほとんどは捕手からの送球がもっとも遠くなる一塁から二塁への二盗であり、二塁打を打ってしまうと二盗の機会を失ってしまうからだ。さらに本塁打も20本打っている。この年は盗塁50とともに打率.325もキャリアハイで、バットも足も絶好調だった。

 

 

 ちなみに現在に至るまで50二塁打・50盗塁の達成者は二人しかいない。一人目は1912年のトリス・スピーカー(ボストン・レッドソックス)で、53二塁打、52盗塁だった。ビジオの記録は86年ぶりだったことも注目を集めた。ちなみに、今季ドジャースで大谷選手のチームメイトとなったキャバン・ビジオはクレイグの息子である。

 

 それにしても、50本塁打を放つということは、それだけ二盗のみならず、三盗、本盗(これはほぼゼロだが)の機会も減るということになる。なお今季の大谷選手は二盗が42個、三盗は9個である。ビジオとスピーカーが異次元なら、大谷選手はなんと表現したらいいのだろうか。

 

 また、歴史の長いMLBでもシーズン50本塁打は延べ44例と決して多くはない。その中でこれまで最多の盗塁数を記録したのは、1955年のウィリー・メイズ(ニューヨーク・ジャイアンツ)と2007年のアレックス・ロドリゲス(ニューヨーク・ヤンキース)でともに24。2人ともいわゆる5ツールプレイヤー、つまり走攻守揃った名選手として知られている。今季の大谷選手はDHで守りにはつかないものの、すでに彼らの倍の盗塁数を記録している。

 

 一方、2023年のピッチクロックの導入、牽制球の制限やベースの大型化により、盗塁の難易度は下がったと言われている。実際に、2022年はMLB全体で、1チームあたり、1試合での盗塁成功数は0.51だったが、2023年は0.72と4割以上増えている。盗塁成功率も、2022年の75.1%に対し2023年は80.2%と5ポイント以上向上した。今年もそれぞれ0.75、79.0%と同じような数字を維持している。

 

 とはいえ、今季の大谷選手の盗塁成功率は92.7%とMLB全体を大きく上回る。また、順位でもエリー・デラクルーズ(シンシナティ・レッズ)に次ぐMLB全体2位である。参考までに、1998年のビジオの50盗塁はMLB全体で5位、成功率は86.2%。1912年のスピーカーも52盗塁はMLB全体の5位。当時の盗塁失敗数の記録はMLB公式には残っていないため、成功率は不明。今年のデラクルーズの成功率はちょうど80.0%だ。

 

 これらの事情を踏まえると、2023年のルール変更を考慮しても、大谷選手の「50-50」はとんでもない記録だということがわかる。来季、大谷選手自身は投手に復帰する見込みのため、盗塁数は大幅に減ることも予想されるから、「50-50」達成者は今後しばらく現われないかもしれない。

 

(記録は現地9月19日試合終了時点)

( SmartFLASH )

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