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尊富士、3場所ぶり幕内で大暴れ宣言「大の里にライバル意識はない!」プロはやりがい十分「お金稼いで恩返しを」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2024.11.11 06:00 最終更新日:2024.11.11 06:00
幕内の土俵に尊富士が帰ってきた。2024年三月場所、新入幕力士としては110年ぶりとなる幕内優勝を果たした25歳。今場所も大きな期待が寄せられる新鋭の素顔とは――。
初土俵から9場所での新入幕は、史上最速タイのスピード出世(年6場所制となって以降)。その場所で初優勝という偉業を成し遂げたわけだが、その代償はあまりにも大きかった。14日目の取組で右足首を負傷。休場もやむなしというほどの大怪我だったが、千秋楽に強行出場。見事に優勝したものの五月場所は全休。七月場所も2勝1敗12休という結果に終わった。
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その決断について、尊富士はこう振り返る。
「自分は正解だったと思っています。優勝したわけですから。横綱(兄弟子の照ノ富士)から『チャンスをものにするかしないかだ』と言葉をかけてもらったことも大きい。最終的には自分自身の選択ですし、後悔はまったくないです」
出身は青森県五所川原市。相撲熱の高い土地柄だ。
「自分は4人きょうだいの次男で、ほかのきょうだいもみんな相撲をやりました。祖父が相撲を教えていたんですよ。イヤでしたよ。でも、相撲をやっていればいろんなところに連れて行ってもらえるし、勝つと褒めてもらえる。ほかのスポーツでいくら頑張っても、祖父は褒めてくれないんですよ(笑)」
好物は、青森の特産品でもある “馬肉” だという。
「刺身も美味しいんですけど、祖母の作る鍋が最高にうまい。今は部屋の近くに青森料理のお店があるので、そこで食べています。うちの味は味噌ベースなので、それをお店に伝えて出してもらっているんです」
小学生のときから相撲クラブに通い、中学校は地元を離れ、そのクラブに近い学校に進学した。高校は相撲の名門、鳥取城北高校へ。高校では、高校総体個人3位などの成績を残している。「もともとは、高校からプロへ行くつもりだった」が、卒業後は日本大学法学部政治経済学科に進んだ。
「大学へ行ったのは、そのときにしかできない選択だと思ったから。人生を考えたとき、相撲を引退した後のほうが長いわけじゃないですか。引退後は、現役時代に相撲が強かったとしてもエラいわけじゃないし、社会で通用もしない。やっぱり、学生のときにしか学べないことがある。だから相撲をやりながら、勉強もしっかりやって卒業しました」
大学卒業後は、伊勢ヶ濱部屋に入門したが、ほかの道に進むことも考えていたという。
「プロに行くかどうか悩みました。セキュリティ関係の仕事にも興味があったし、消防士になることも考えた。そんななかで、職業として相撲の道を選んだということです」
仕事としての相撲――それでも、相撲が好きではないとできないのでは?
「いや、相撲に関しては好きという概念がないんです。好きだからという理由だけで、こんなに続けられないと思う。それでもなぜやるかというと、自分が頑張るところをまわりの人に見てほしいし、活躍してお金を稼いで恩返ししたいから。自分を見て、子供たちが相撲に興味を持ってくれたら嬉しいですしね。そういう意味で、プロってすごくやりがいはありますよ」
九月場所で十両優勝、幕内復帰を決めた。ライバルといわれる、新大関・大の里(24)はどんな存在なのか。
「学年は自分がひとつ上ですが、もちろん原動力にはなりますね。ただ、相手は大の里関だけじゃないですからね。土俵に立てば、どんな相手でも勝たないとダメだと思っているので、特にライバル意識というものはないんですよ。
強いて言えば、やっぱり同級生でしょうね。高校の同期だった狼雅とか。あとは、同じ部屋の力士もそうです。伊勢ヶ濱部屋には関取が多いですから。稽古から切磋琢磨して、常にライバル意識、競争意識がないとプロの世界では勝てないと思っています」
小さいころから足が速く、その瞬発力が相撲にも生かされているという。
「自分、脚細いでしょ。陸上部みたいでしょ(笑)。もちろん筋トレはやりますよ。ジムに通って。以前は、ベンチプレス220キロを上げていました。大胸筋が切れちゃって、もうできませんけどね。ただやりすぎてもよくない。今は下半身を重点的に鍛えています」
将来、目指すものは?
「いつまでにこうなりたいとか、そういうビジョンは持たないようにしています。自分がやることによって、まわりの人がどう見てくれるかのほうが絶対に大事。自分の気持ちだけだと、人間って中途半端に妥協してしまうと思うんです。でも、まわりの人が見てくれていると思ったらそうじゃない。だから、応援してもらっているうちは、どこまでも頑張り続けられますよ」
25歳、独身。結婚願望は?
「ありますよ。子供は大好きなので。本当は犬も飼いたいんですけど、今はまだ部屋に住んでいるので無理ですね」
ちなみに好みのタレントは、元テレビ朝日アナウンサーの宇賀なつみ。「自然な、飾らない感じがいい」とのこと。
最後に十一月場所について。
「何番勝ちたいなどの目標は立てていないのですが、その日その日、観に来てくださるお客さんの前で、いい相撲を取る。それだけです」
2024年、最後の土俵を締めくくるのは、“令和のシン怪物” だ。
たけるふじきみや
尊富士弥輝也(本名は石岡弥輝也) 1999年4月9日生まれ 184センチ143キロ 青森県出身 日本大学卒業後、伊勢ヶ濱部屋に入門。初土俵は2022年九月場所。2024年三月場所で新入幕初優勝。最高位は東前頭六枚目。九州場所の番付は西前頭十六枚目