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第74代横綱・豊昇龍に元横綱が辛口エール「“レスリング相撲” のままでは短命に!」…元NHKアナは「立合い」を懸念

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記事投稿日:2025.02.05 21:12 最終更新日:2025.02.05 21:12
出典元: 週刊FLASH 2025年2月18日・25日合併号
著者: 『FLASH』編集部
第74代横綱・豊昇龍に元横綱が辛口エール「“レスリング相撲” のままでは短命に!」…元NHKアナは「立合い」を懸念

2023年九月場所直前、大関昇進後に撮影(写真・舛元清香)

 

横綱の名を汚さぬよう、気魄一閃(きはくいっせん)の精神で精進いたします」

 

 第74代横綱に昇進した豊昇龍(25)の口上は、相撲内容同様、愚直にまっすぐ、力強く立ち向かっていく精神力を意味する内容だった。

 

 

 先の初場所は、横綱・照ノ富士が引退したことで32年ぶりとなる横綱不在の危機に陥っていたが、豊昇龍の優勝は場所を盛り上げるだけでなく、角界を救ったことになる。

 

 初土俵から歴代6番めのスピードで最高位に上り詰めた新横綱はまだ若く、伸びしろにも期待されている。第66代横綱・若乃花の花田虎上氏は、どう見ているのか。

 

「今場所は中盤あたりまで苦戦していましたが、逆転優勝できたことが大きかったと思います。本割の結びの一番で勝ち、巴戦による優勝決定戦でも一番手で連勝。この連勝を見た横綱審議委員会(横審)の方々は、心を動かされたのではないでしょうか」

 

 一方で、先場所準優勝、今場所優勝と「2場所連続優勝か、それに準ずる成績」という横綱昇進の最低ラインはクリアしているが、直近の3場所で見ると33勝と、「時期尚早では」という声もある。名実況でお馴染みの元NHKアナウンサーである藤井康生氏も、そのうちの一人だ。

 

「合計33勝は、平成以降に誕生した横綱の中で最低の成績なんです。私がいちばん不思議なのは、横審のなかに反対とした人が一人もいなかったことです。出席者の3分の2の票があれば推挙されます。でも、全会一致で決まったことが、どうにも腑に落ちません。

 

 なんのために横審があるのか。大相撲は今すごい人気で、どの場所でもチケットは完売続きです。外国からのお客さんも多い。そうしたなか、相撲協会も看板となる横綱の誕生を熱望していたのではないかと思います」

 

 また、2025年10月にはロンドンで、2026年6月にはパリでの公演を控えており、大相撲の象徴である横綱の土俵入りが実現しないのは、興行的には大きなマイナス材料となる。そうした “外野の声” があることは事実だが、花田氏も藤井氏も、豊昇龍の実力を認めるところでは一致している。

 

「きれいな相撲を取る力士は、その型を変えずにずっといく。でも、それだと対戦相手が慣れてきて心の余裕が生まれます。

 

 豊昇龍は右四つというベースは持っていますが、立合いで変化したり、張ったり、正攻法でいったりと、いろんなことができる。言葉は悪いですが、彼は勝ちにこだわった “ずるい” 相撲が取れるんです。本当に技が多彩で、しかも優れている。昭和の相撲を取れるのは、豊昇龍と伯桜鵬だけですね」(花田氏)

 

 藤井氏は、その運動能力の高さに注目しているという。

 

「平幕の平均体重が160キロを超えるなど、年々力士の大型化が進んでいます。そんななか豊昇龍は148キロしかない。それでも横綱になれたのは、抜群の運動能力があるからです。

 

 彼は相手が有利な体勢になっても、長くその体勢にとどまらない。それは動きの鋭さ、反応のよさがあるからできることだと思っています。初場所で大の里を首投げで下した一番は、その能力が十分に発揮されたものでした」

 

 では今後、横綱として求められる “品格” とはーー。

 

 藤井氏は、「横綱として所作に気をつけることから始めるべき」と続ける。

 

「これまでも負けたときに、礼をせずに土俵を降りて審判から注意を受けたり、豪ノ山と1分以上にらみ合ったこともありました。

 

 私がいちばん懸念しているのは立合いです。立ち渋ったり、自分の呼吸で立ちたいがゆえに、相手に先に手をつかせたりと、相手に合わせることをしてこなかった。負けん気の強さからと言われて許された部分はありましたが、横綱となればそうはいきません。

 

 角界には “横綱相撲” という言葉があります。これは、圧倒的な力を見せて勝つことと思われている方が多いのですが違います。“横綱相撲” とは、まず立合いは相手のタイミングで受ける。そして『どんどん攻めてちょうだい。えっ、そんなものですか。ならば今度はこちらがいきますよ』という相撲なんです。

 

 豊昇龍も、今後は自分本位の立合いではなく、“横綱相撲” を意識してほしいですね」

 

 また、長く横綱として相撲を取るには、「最大の敵は怪我」と両者は口を揃えた。そして、最後に花田氏は「相撲のタイミングを身につけてほしい」とエールを贈った。

 

「どの競技でも技を仕掛けるには、それぞれのタイミングがあります。彼の競技人生は柔道から入り、その後長くレスリングを続けたため、レスリングのタイミングで相撲を取っています。

 

 言葉で表わすのは難しいのですが、技を仕掛けるのが強引。無理をしているので大怪我につながる可能性があります。怪我防止の意味でも、相撲のタイミングを早く身につけてほしい」

 

 1月31日には第68代横綱朝青龍で、叔父のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏が見守るなか、横綱としての “初仕事” である明治神宮での推挙式と奉納土俵入りに臨んだ。その際の型は、叔父と同じ雲竜型だった。

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