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【禁固4年9カ月】大谷翔平を激怒させた水原一平の“罪と罰” 失笑もの“嘆願書”と検察の“鋭すぎる反論”全内幕
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量刑を言い渡された水原一平被告(写真・アフロ)
米カリフォルニア州サンタアナの連邦地裁は日本時間の2月7日、大谷翔平の元通訳・水原一平被告に対し、検察の求刑通り、禁錮4年9カ月と大谷への約1700万ドル(約26億円)の賠償を命じる判決を下した。刑期は3月25日から始まる予定だ。
「水原被告は、言わずと知れた大谷の“相棒”でした。日ハム時代に知り合い、2017年オフに大谷がエンゼルスに入団した際、ともに渡米。以後、専属通訳としてつねに大谷の隣にいました」(スポーツ紙記者)
大谷が活躍するにつれ、同じく“IPPEI”として全米の注目を浴びるようになった水原被告。だがその裏で、“転落”が始まっていた。
【関連記事:水原一平氏が手を染めた「違法賭博」の中身、インタビューで「100%していない」と語ったこと】
「水原被告は2024年3月20日、開幕戦の直後に突如としてドジャースを解雇されました。違法賭博に手を染め、約26億円を大谷の口座から盗んでいたことが発覚したのです。水原被告は、2021年から違法賭博に手を染めるようになり、借金が徐々に膨らんだそうです。2023年には借金が約6億5000万円に達し、大谷に助けを求めるなど、深刻な“ギャンブル依存症”の実態も明らかになりました。一方、問題が発覚した当初はメディアに対し、勝手に『大谷は私を助ける』と発言するなど、何とか罪を逃れようとしていた形跡もあります」(同前)
結局、同年4月、連邦検察は銀行詐欺容疑で水原被告を刑事訴追。水原被告は罪を認める答弁をおこなうかわりに、量刑が4年9カ月~5年11カ月の範囲内であれば控訴しない、という司法取引を結んだ。
「しかし、実際に裁判が始まると、情状酌量を狙って水原被告は自身がいかに辛い立場だったかを切々と訴える申立書を提出しました。さらに妻や両親も“寛大な判決”を望む手紙を法廷に送っています。こうした文書を足がかりに、弁護士サイドはわずか1年6カ月の禁固刑を求めました。しかしながら、その“嘆願”は検察サイドの厳しい反論にさらされ、“嘘”が次々と明らかになりました。裁判所はこの事態に心証を悪くし、検察の求刑を丸呑みする厳しい判決となったわけです」(同前)
水原被告の最後の“悪あがき”とは何だったのか。本誌は告訴状や、弁護士や家族による減刑の申立書などを入手。これらを元に水原被告の“言い分”を徹底的に検証する。
水原被告がまず訴えるのは、“仕事の過酷さ”だ。
「水原被告は、メジャーリーガーは通常、運転手、トレーナー、シェフなど複数のスタッフを同行させるのに、大谷はこうした複数人で担当する仕事をすべて自分に押し付けたと主張しています。具体的には、食料品の買い出し、郵便受けのチェック、自転車の修理、大谷が岩手に帰省する際の付き添い、愛犬を獣医やグルーミングに連れて行くこと、仲間との会食の送り迎えなどです。これらに対応するため、水原被告は24時間体制で待機させられていたとのこと。
また、アメリカ人の代理人や、大谷の日本のマネジメントを担当していた実母とも週に何度も連絡を取らなければならず、時差の影響で夜中の12時を過ぎても電話を続け、眠れないことがあったと主張しています。真美子さんと結婚する際には、婚前契約の交渉のために日米の弁護士の予定を調整し、打ち合わせに同席。オフシーズンはトレーニングの合間を縫って週1回ある大谷のCM撮影にも立ち会ったそうです。年間を通じて、長期連休は年末年始の4日間くらいしかなかったと“不満”を述べています」(現地紙記者)
さらに水原被告は、こうした過酷な仕事であるにも関わらず、あまりにも低賃金だったと訴える。
「水原被告は、こうした仕事をこなすために高級住宅街で暮らす大谷の隣に住む必要があったそうです。エンゼルス時代の最初の3年間、年収は8万5000ドル(約1300万円)ほどだったにもかかわらず、この給料で家賃と給料を支払わなければならなかったと述べています。さらに、水原被告が2018年に結婚した日本人妻のNさんは、2023年まで米国のグリーンカードを入手できず、ビザの問題で米国と日本を行き来する生活を送っていた。Nさんの旅費を捻出することも、経済的な困窮の原因だったと語っています」
かたや大谷は年俸100億越えの大スター。しかし水原被告は、堂々と窮乏を訴えることができなかったという。
「私はひどい低賃金だと感じていましたが、毎年1年契約だったので、機嫌を損ねてクビになるのが怖くて、自分から声を上げることができませんでした」(水原被告の書簡より)
過酷な上に低賃金。精神的に追い詰められて、ギャンブルに走るのも仕方がないーー。と言いたいわけだ。
だが、実態はどうなのか。検察側は、水原被告のおびただしい数の“嘘”を指摘している。
「検察によると、エンゼルス時代の年俸は水原被告の自己申告の3倍近い、25万ドル(約3900万円)で、大谷がドジャースに移籍した後は50万ドル(約7800万円)に増額されたと指摘しています。しかも、家賃については、月1万ドル(約150万円)が大谷の口座から勝手に引き落とされていたと指摘しています。そもそも水原被告の口座には、2023年3月時点では3万236ドル(465万円)、本件が発覚した2024年3月時点では19万5113ドル(3000万円)もあったそうです。また、Nさんは日米を行き来する飛行機でファーストクラスを使用していたうえ、チケット代金は大谷さんが支払っていたそうです。歯の治療に必要だと嘘をついて、大谷から6万ドル(約930万円)も“せびっていた”ことも明らかになっています。困窮していたとはとてもいえないでしょう」(同前)
また、“過酷な労働”について「当たり前のものばかり」と一笑に付すのは、過去に日本人メジャーリーガーの通訳をしていたX氏だ。
「まず通訳の年俸ですが、皆さんが思っているほど高額ではないですよ。4~5年前なら1000万円いけばいいほうで、最近は物価高もあって1300万円ほどが相場となっています。水原被告は十分好待遇ですよ」
担当する選手のために、24時間体制で待機するのも当然のことだ。
「最近では“グラウンド内だけで通訳する”という契約も多いですが、そうであればこれほど高額な報酬はもらえません。大まかにいえばキャンプインからシーズン終了までが仕事で、まとまった休みを取ることはまずできません。私も、夜中に叩き起こされて選手本人や、そのお子さんを救急病院に連れて行ったこともありますよ。
それに、ホームの場合は球場入りする午後3時までは基本的に自由時間になりますし、ビジターの場合でも昼食までは自由行動できます。“待機時間”は逆に言えば自由時間ですからね。車の送迎に関しても、ホームの試合がある時だけですから、私は大変だと感じたことはありません。
むしろ大変なのは選手に家族ができた場合ですよ。妻や子供たちのことも含めてすべて面倒を見るのが当然なので、一気に忙しくなります。水原被告は、ほぼ独身時代しか経験していない。楽なはずですよ」
検察の捜査で明らかになった水原被告の“犯罪実態”も申立書とは大きく乖離している。
「水原被告の捜査を担当した捜査官によると、2021年~2024年にかけて、水原被告は約1万9000件の賭けをおこなっています。1日あたり約25件の賭けをおこない、賭け額の平均は約1万2800ドル(約196万円)だったそうです。結果的に62億円もの“負け”を記録していますが、年間で4日しか休みのない“過酷な労働”を強いられた人間が、これほど賭けをする時間的な余裕があるとは思えません。
また、水原被告は、球団から振り込まれる大谷の給与口座からおカネを盗んでいました。大谷はファイナンシャルプランナーを雇い、スポンサー収入などが振り込まれるほかの口座とあわせて税金の申告や資産運用を依頼していました。ところが水原被告は自分の悪事を隠すために、同プランナーに対し、給与口座の存在を5年間も隠蔽したうえ、『大谷はプライベートな口座のことを知られたがっていない』と強弁。以後も自分が勝手に使えるように利用していました。つまり大谷は外部の専門家も交えて自分を支えてもらおうとしていたのに、大谷のことを“独り占め”することで、カネを盗んでいたのは水原被告のほうなんです」(前出・現地紙記者)
さらに、水原被告と妻のNさんは、共にとある“奇妙な理屈”で減刑を申し立てている。
「Nさんは、両親を無くし、家族は水原被告しかいない、と孤独な身の上を語ったうえで、『私の夢は、いつか彼との間に子どもを授かり、ささやかな結婚式を挙げることです』と申立書に記しています。同じく水原被告も『Nさんとの子供を授かりたい』と主張しています。これはつまり、あまりに長い間収監されてしまうと、年齢的に夢が叶わなくなるということでしょう。被害者である大谷からすれば、『子作りしたいから許してくれ』と聞こえるでしょう。これが有効な主張だと思ったのは、不思議ですね……」(同前)
実際、大谷が水原被告に激怒しているのは間違いない。
「水原被告は、転売目的で、大谷のおカネで野球カードを約5000万円分購入しています。すでに野球カードは押収されていますが、大谷は裁判所に同カードの返還を要求しました。大谷にとって、5000万円は“はした金”。むしろ返還を要求することでメディアに取りざたされるほうが嫌なはず。大谷としては、“絶対に許さない”という意思表示の現れでしょうね。
真美子夫人は現在妊娠中ですし、第一子が生まれればそれにかかりきりになるはず。水原被告のことは“汚点”として、二度と大谷が関わることはないでしょう」(スポーツ紙記者)
さようならIPPEI。