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花巻東高野球部、新入部員の半数が初の「県外出身」に! “岩手ファースト”の監督を変えた息子・佐々木麟太郎との「海外視察」
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海外で活躍する、花巻東高校出身の佐々木麟太郎(写真・共同通信)
“NEXT麟太郎”が、この春、生まれるだろうか――。
2月16日(日本時間)、スタンフォード大に進学した佐々木麟太郎は、3番一塁でスタメン出場。デビュー戦となるレギュラーシーズン初戦で、4打点の好成績を残した。
その4日前の12日、彼の出身校である岩手県・花巻東高校野球部の選手たちは県庁を訪れ、3月18日から開催される「春のセンバツ」での健闘を誓った。同校野球部の甲子園出場は、春夏合わせて17回めとなる。
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高校球界での実績はもちろんのこと、卒業生の菊池雄星(エンゼルス)、大谷翔平(ドジャース)がMLBで大活躍し、最近では佐々木洋監督の息子である麟太郎がスタンフォード大に進学。ここまでOBたちが世界で活躍する高校は、花巻東だけといっても過言ではないだろう。
その結果、同校の野球部はこれまでの慣例を変えることとなった。花巻東高校野球部では、入部する生徒たちは原則として岩手県内の出身者のみとしてきた。例外は、関係者の子弟などに限られてきたとされる。しかし、2025年春に入部する新1年生28人のうち、14人を県外から受け入れる見通しになったというのだ。変革の理由をスポーツライターが語る。
「大阪桐蔭高校に代表されるように、『全国から優秀な生徒を集めて強くする』というのが、ここ数年の高校野球の主流。そんななか、佐々木監督の『県内にもいい選手は大勢いる。その子たちを育てて、強くしていきたい』という方針は、ほかの強豪校とは一線を画したスタイルといっていいほどでした。いまでも、その考えは根底にあるといいます」
ところが、麟太郎が米留学を志したことで、その候補となる大学を佐々木監督が視察に訪れた際に「考え方は変わった」と続ける。
「監督は施設に圧倒されたといいますが、それよりも、アメリカの大学野球部には、日本だけでなくアジア各国からの留学生が多くいたことに驚いたそうです。留学の理由を尋ねると、ほとんどの生徒が『早くMLB入りを果たしたいから』と答えたと。この回答に驚くと同時に、監督は『日本でも近い将来、いい人材を獲得するための競争が頻繁におこなわれる』と思ったというのです。
また、菊池や大谷を育てたこともあり、以前から佐々木監督のもとには『花巻東高校に入るにはどうしたらいいのか』といった問い合わせはけっこう来ていたんです。さらに最近では、日本だけではなく、台湾や韓国、アメリカなど海外からの問い合わせも来るようになりました。
そうした状況が、県内だけにこだわっているのではなく、門戸を広げることの後押しになりました。また野球だけに留まらず、人材育成の面でも、県外の生徒を受け入れたほうがいいと思っての決断ということです」
大谷らOBの活躍は、学校の方針転換にも影響を及ぼしているようだ。