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森保ジャパン、サウジ戦「ドロー」が “痛すぎた” わけ…W杯躍進に欠かせなかった「世界9位」の称号

欧州居住を示唆した森保一監督
世界最速で2026年北中米W杯出場を決めた日本は、その5日後の3月25日、第8節でサウジアラビアと激突した。グループCで3位と、まだストレートで本大会出場の可能性があるサウジアラビアは、アウェー戦であることも加味され、「勝つことよりも負けない戦い」に徹していた。
「自陣深くにラインを引き、DFラインは5バック。ボールを奪っても無理に攻めるようなことはせず、時間が早く過ぎていくことを願っているようにも見えました。
日本はボール支配率77.6%を記録し、シュート数も12対1と圧倒。試合開始9分には前田大然のシュートがポストを直撃するなど、先制ゴールが生まれるのは時間の問題かと思われましたが……」(スポーツ記者)
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多くの時間を攻めに使っているにもかかわらず、ゴールは遠かった。それは後半に入っても変わらず、最後までネットを揺らすことができず、スコアレスドローとなった。
W杯進出を決めている日本にとっては、いわば消化試合。新戦力や新たなシステムを試すいい機会となるのだが、なかなかそうはいかないようだ。むしろ、サウジアラビア戦は絶対に勝たなければいけない一戦だった。その理由をベテランのサッカーライターが解説する。
「森保一監督以下、選手たちもW杯での目標に『優勝』を掲げています。その目標に近づくためには、まず世界ランクを上げる必要があります。なぜならランクが上位になれば、大会本戦の1次リーグの組み合わせで優位に立てるからです」
今大会の出場国は32から48に増加したため、1次リーグは4カ国ずつ12グループに分かれて戦う。組み合わせ抽選時に世界ランク上位12カ国がポット1に入り、次点の12カ国がポット2、続いてポット3、ポット4と振り分けられる。
1次リーグを勝ち抜くにはポット1に入ることがベストとなる。格下と3試合を戦うことができるからだ。
ただし、厄介なのが開催国の扱いだ。どの大会でも開催国は1次リーグで敗退しないよう、組み分けが配慮されてきた。今回も同様で、共同開催となるアメリカ、メキシコ、カナダはポット1に入ることがすでに決定している。
この3カ国は世界ランクがそれぞれ16位、19位、31位と、そこまで上位とは言えない立ち位置だ。こうした状況下でポット1に入るには、単純に考えれば世界ランクで上位9番めまでに入っていなければならない(2025年3月24日時点のランキング)。
「現在世界ランク15位の日本が9位にアップするのは、非常に難しいと言わざるを得ません。となれば、現在のランクをキープし、なにがなんでもポット2入りを実現しなければいけません。
前回のカタール大会で、日本は23位での参加でしたが、出場国が32で出場国中19位だったため、ポット3での組み合わせ抽選会に入った。その結果、ポット1のスペイン(7位)、ポット2のドイツ(12位)と同組に。日本にから見ればまさに “死の組” となったわけです」(前出・サッカーライター)
では、世界ランクを上げるにはどうすればいいのか。
「とにかく試合に勝ち続けるしかないのですが、最終予選のように重要な試合は、親善試合よりポイントが高い。だからこそ、サウジアラビア戦で勝って、ポイントを積み上げる必要があったのです」(同)
世界最速でW杯の出場権を獲得したサッカー日本代表だが、大会に向けて、まずは新戦力を試すことより勝利が重要となる。負けられない戦いはまだまだ続いていく。