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【日本人メジャーリーガーに明暗】佐々木朗希、新天地で大失速の裏で“栄誉あるトレード候補”に急浮上した名投手

5試合に登板し、16四球と “荒れ球” が続く佐々木朗希。日本で1年間ローテを守ったことがないだけに、シーズンを乗り切れるか
2025年のMLBの開幕に先立ち、米スポーツブックが今季の個人各賞のオッズを設定。その中で新人王については、当時ドジャースとマイナー契約を結んでいた佐々木朗希投手が大手13社から両リーグで1番人気の3~3.25だった。
一方で、佐々木とちょうど一回り違う35歳の“オールドルーキー”菅野智之投手は、オリオールズと契約。日本での実績は佐々木を遥かに凌ぐが、年齢がマイナスとなり、オッズは21~26倍に設定された。
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「ところが開幕から1カ月強、2人の評価は逆転しています。『新人王確実』とさえ言われた佐々木は、日本での開幕戦こそフォーシームが160km/hオーバーを何度も計測し、『さすが!』の印象を与えましたが、アメリカに場所を移すとなぜか球速は極端に落ちているんです」(スポーツ記者)
5月13日現在、8試合に先発し1勝1敗ながら防御率は4.72。代名詞となる奪三振も投球回数を大きく下回る24個に止まっている。
また被本塁打もロッテ時代でもっとも多かったのは2022年の7本だが、今季はすでに6本を打たれている。
周囲は球速が上がらないことが懸念材料と大きく取り上げているが、デーブ・ロバーツ監督は「(足りないのは)球速ではなく、コントロールだ」と指摘している。
そのコントロールの良さが際立つのが菅野だ。現在、MLBのフォーシームの平均球速は152km/hほどだが、菅野の場合は149km/hに満たないという。球速がないため奪三振どころか空振りさえ取れないため、4月に3勝を挙げながら周囲の評価は懐疑的だった。
だが、菅野には佐々木どころかMLBの多くの投手にない抜群のコントロールがあった。佐々木は現在34回1/3を投げ四死球は25。一方の菅野は46回1/3を投げながら四死球は10個しか与えていないのだ。菅野とバッテリーを組むMLB屈指のアドリー・ラッチマン捕手は「これまで、こんなにコントロールのいい投手のボールを受けたことがない。構えると寸分狂いなくボールが来る。受けていて楽しい」と絶賛している。現在4勝2敗と、チームの勝ち頭でもある。
「MLBでは独特な野球用語が存在していて、投手でコントロールが優れた投手に対し、『Painting the black』と言うことがあります。ホームベースは白ですが、端っこは黒線で色分けられており『そこを通過する球を投げられる=ホームプレートを黒で塗る』ということだそうです。今や菅野はこの言葉の代名詞のような存在で、佐々木にはない特長です。
もう一つ菅野の優れた点ですが、彼はフォーシーム、ツーシーム、カーブ、スライダー、カット、そしてスプリットと持ち球が多彩なんですが、すべての球を同じフォームで投げられるんです。もちろん佐々木にはできない芸当であり、MLB全体を見てもここまでの投手はいません。残念ながらオリオールズはア・リーグ東地区の最下位に沈んでいます。
このまま低迷が続けば、シーズン終盤には優勝を狙えるチームにトレードされる可能性が大なんです。まさに名誉あるトレード候補です」(現地記者)
今季開幕前の評価を覆し、“35歳のオールドルーキー”が新人王候補のトップに躍り出ようとしている。