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【MVPへの道】大谷翔平、MLB解説者が指摘する「10cm」の秘策…意外に三振が多い理由は「構え」にあり

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記事投稿日:2025.06.10 16:10 最終更新日:2025.06.10 16:10
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
【MVPへの道】大谷翔平、MLB解説者が指摘する「10cm」の秘策…意外に三振が多い理由は「構え」にあり

大谷翔平(写真・アフロ)

 

 毎年好調な6月を前に、今季は一足早く大爆発したドジャース大谷翔平。今月の活躍はいかに──。

 

 5月に打率.309、15本塁打、27打点、31得点をマークした大谷。15本塁打は自身と球団の月間最多記録に並ぶタイ記録で、メジャートップだ。もちろん、月間MVPを獲得。受賞はエンゼルス在籍時をあわせて通算6度めで、自身が持つ日本勢最多の受賞回数を更新した。

 

 

 本塁打は54本打った昨季を上回るペースで、5月終了時点で58試合を消化し、年間61本ペース。「50-50」を記録した翌年は60本塁打と夢は広がるばかりだが、専門家はどう見ているのか。

 

 現役時代は安打製造機の異名をとり、NPB通算2038安打を記録。MLBにも造詣が深く、NHKBSのMLB中継の解説者を務めている新井宏昌氏に話を聞いた。

 

「今年の大谷さんは、バットの長さを約2.5cm(1インチ)長くして臨みました。バットの長さを変えた2023年もそうだったように、長くするとタイミングが取りづらくなることはあります。今年のスタートも同様でしたね。それが試合を重ねるごとに慣れてきて、自分のタイミングでバッティングができるようになっています。

 

 シーズンの序盤に関して言うと、いいヒットやホームランはライト方向で引っ張った打球が多かったですね。それはバットを長くしたぶん、早めに動かなければいけないとか、力を込めて振らないといけないという気持ちがあったからだと思います。早めの始動がゆえに打球は右中心になったのでしょう。

 

 それが5月に入ると、左投手から左方向へのホームランを打ったり、あるいは右投手の外からのカットボールをレフトスタンドに放り込んだりと、ホームランの方向がセンター中心に変わってきた。長くしたバットに慣れてきた結果でしょう」(以下「」内は新井氏)

 

 今季の好調ぶりはバットの調整だけではない。真美子夫人の出産後、遠征での試合が続いたことも「好影響を与えたのではないか」と続ける。

 

「奥さまの出産のため父親リストに登録し、4月19日と20日のレンジャーズ戦を欠場しました。いわゆる育休ですね。21日から復帰したんですが、24日までの試合すべてがビジター(アウェイゲーム)だったことも幸いだったと思いますね。

 

 出産前後は奥さまへの気遣いや生まれてきた子供の心配など、大変なことが続きます。ただ、今回遠征に出たことで家庭から離れて、メンタルの切り替えができた。これも5月の好調さにつながっていると思います。

 

 いまでは『全打席ホームランを狙っているのでは?』と思えるくらいスイングが力強いですし、そう思わせる元気な体がありますね」

 

 現在は大谷らしい打撃ができているというが、新井氏は対左投手の際の打撃フォームに「ひとつ提案があります」と語る。

 

「今季、打率から見れば左投手対策はうまくいっていると言えるでしょう。ただし、三振が多いのも事実。その要因は構えにあると思います」

 

 今季でMLBで8年めを迎える大谷。確かに、対左投手の打率が対右投手の打率が上回ったのは、2021年の対左.263、対右.254、そして今季の対左.319、対右.279の2回しかない(日本時間6月9日現在)。

 

「左投手に対して、右投手よりやや開いた姿勢で構えているんです。右投手に対して構えた場合、右肩はセカンドベースよりややライト方向に置きます。

 

 でも、左投手に対しては体を開き、右肩はセカンドの定位置くらいに置いているんです。それによって左投手のスライダーやスイーパーなど、体から遠ざかる球に対してすごく遠くに感じるわけです。

 

 今季、打席で目立つのが、フルカウントや3ボール1ストライクで外に逃げる変化球が来ると、大谷選手はボールだと思って早めに目を切って一塁へ行こうとする。でも、アンパイヤ(審判)にストライクを宣告され打席に戻ることが多いんです。自分の感覚では『完全なボール』と判断しているからです。

 

 そこで大谷選手に提案なんですが、左投手に対しては、打席で構えや体のラインは変えなくてもいい。そのかわり、左足を10cmほどホームベースに近づけてほしいんです。そうすれば、いままではボールと判断していた外に逃げる変化球がよく見え、間違った判断をしなくなる。ハッキリとボールになる変化球にも手を出さずにいれますし、三振も減ると思います。

 

 また、ホームベースに近づくわけですから、インコースのシンカーなど、最近よく手を出すボール球を打ちにいかなくなるんです。打つにはかなり窮屈になるし、ボールだと判断しやすくなる。

 

 なので、10cmホームベースに近づくだけで、外角のストライク、ボールの見極めができるだけでなく、今まで手を出していた内角のボール球も見極めることができるなど、2つの問題が解消できます」

 

 新井氏は投手・大谷の復帰時期によって打者・大谷の成績は大きく左右されると予測するが、今季もMVP争いに絡んでいくことは確実だと断言する──。

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