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大谷翔平、2年ぶり “二刀流” 復帰も「イニング間隔」大忙しで調整不足感ありあり…鍵はロバーツ監督の “強権発動” 姿勢

2025年6月16日、投手に復帰した大谷翔平(写真・アフロ)
2025年6月16日(日本時間17日)、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平が「先発・1番・DH」の二刀流でパドレス戦に出場。1イニングで28球投げ、1失点に抑えた。二刀流は2023年8月24日以来、663日ぶりのことだったが、速球の最速は161.3キロと、ブランクを感じさせないものだった。
また、打っても2安打2打点と3戦連続24度めのマルチで、逆転勝利に大きく貢献した。
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しかし、大谷が初回表を投げ切り、裏の攻撃のために打者への準備を始めたときの行動は、これまで見たことのない異様な光景だった。大量の汗をかき、肩で息する大谷だったが、2023年のときのようにベンチに座って打席の準備をしたわけではなかった。まるでベンチに座る時間が惜しいとばかりに、用具係が用意したプロテクターなどを急いでグラウンドでつけ始めたのだ。
「現在、MLBはピッチクロックをはじめ、あらゆる分野で時間短縮を目指しています。イニング間の攻守交代時間も同様です。2015年にイニング間のピッチクロックが導入され、イニング間隔を通常2分25秒に定め、全国放送の場合は2分45秒としました。
それが、現在ではそれぞれ2分5秒、2分25秒に短縮されています。さらに緊張感の高まるポストシーズン(PS)でも、2分55秒に設定されています。
これは長いようで短い時間です。大谷は右投げ左打ちだけあって、右腕付近をカバーする用具が他の打者に比べて多いんです。両手のバッティンググローブに始まり、右手の甲、右肘、右足脛、右スパイクの甲用と、つけるプロテクターは4つもあります。
これを短い時間内にすべて装備し、さらに呼吸も整えて打席に入らなければいけない。今回の登板は663日ぶりだったことや気温が高かったこともあり、呼吸が整わないうちに打席に入った感は否めませんでした」(現地記者)
結果は空振り三振だったが、それも致し方ないということか。ただし、前出の現地記者は「この部分を改めないと二刀流の成功はない。そのためには、ロバーツ監督の手綱が必要」と続ける。
「大谷は、エンゼルス時代から野球に関しては、ほぼすべて自分で決めていました。それはドジャースに移籍してからも同じで、今日投げると決めたことも、1番という打順もそうでした。
ロバーツ監督は打順を下げることを進言したようですが、『いままでやってきたことだから、今回も1番打者がいい』と、大谷のひと言で決まったんです。でも、ホームで先発して、1回裏の1番打者なんて、どう考えても調整が難しいのは明らかです。みんなわかっています。
でも、『それはダメだ!』とロバーツ監督も言えない。エンゼルス時代、『ときには休め』という周囲の助言に耳を貸さず、結果、2度のトミー・ジョン手術になったことを忘れてはいけません。
ロバーツ監督は選手とのコミュニケーションを図るのがうまく、選手から慕われています。しかし、大谷には、ぜひとも強権発動をおこなうくらいの強い姿勢で接してほしいと思います。それこそが二刀流復活のカギを握っているのです」(同)
今こそ指揮官としての資質が、ロバーツ監督に求められている。