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伊調馨を追い込んだ栄和人コーチ「権力の源泉」は至学館閥

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2018.03.07 11:00 最終更新日:2018.03.07 11:00

伊調馨を追い込んだ栄和人コーチ「権力の源泉」は至学館閥

 

「悪評は以前からです。2年ほど前から協会のみならず内閣府などに被害を訴えていたが、回答はもらえなかった」

 

 レスリング関係者が口を揃えて話すのは、五輪4連覇を達成した伊調馨(33)が受けていたパワハラに関する報道のこと。これまで明るみに出なかったのは、“加害者” 栄和人強化本部長(57)の偉大すぎる功績ゆえという。

 

「レスリング協会のトップは福田富昭会長。伊調、吉田沙保里ら数多くの愛弟子が金メダルに輝いた栄氏の指導には、福田氏のお墨付きもあり誰も口を出せない」(レスリング指導者)

 

 告発されたパワハラのおもな内容は、「伊調が師事する田南部力氏への不当な圧力」「男子合宿への参加禁止」「リオ五輪直前まで練習拠点にしていた警視庁への出入り禁止」と練習に関するものだが(レスリング協会は伊調へのパワハラ問題を全面的に否定)、それは伊調の偉業が栄氏の “指導者神話” を脅かしたからだ。

 

「北京五輪後の2009年、伊調は姉とともにカナダ留学をしました。そこで栄氏とは違った自由度の高い練習を経験し、新しい空気を入れなくてはと考えはじめた」(スポーツ紙五輪担当記者)

 

 強くなることを目指し、行き着いたのは「男子選手との練習」だった。

 

「伊調は栄氏のもとを離れ上京し、田南部氏がコーチを務める日本代表の男子合宿に参加するようになった。栄氏は自分の考えが否定され、気に食わなかったのでしょう」(同前)

 

 伊調がロンドン五輪で3連覇を果たし、リオ五輪を目指したころ、栄氏は伊調の男子合宿への参加禁止という“実力行使”に。そして、4連覇達成直後も、練習拠点を “出禁” にした。

 

 いくら「伊調憎し」とはいえ、権力を盾に栄氏はそこまで圧力をかけられるのか。ある協会関係者は語る。

 

「栄氏は『強化本部長』だけでなく、『代表総監督』などいくつも肩書を兼務しており、コーチ人事や選手選抜も掌握している。加えて、レスリング協会の幹部は東京五輪の組織委員会内で強い力を持つが、それは栄氏の功績から女子のメダル量産が予想されるから。そういった事情も絡み、福田会長ら協会上層部が後ろ盾となっている」

 

 だとすると、栄氏の悪評が明らかになったのはなぜか。そこには、レスリング界に潜む派閥争いが関係している。

 

「栄氏は日体大OBだが、1996年に愛知・至学館高校の前身校で、女子レスリングの指導を始めると才能が開花。大学と併せて、いまでは強力な “至学館閥” を作り上げるまでになった。ただ一方で、日体大や専修大などの東京の学閥が至学館閥と対立構造にあるなど、『アンチ栄派』も多い」(前出・指導者)

 

 別の協会関係者は、そこに協会内の次期トップ争いが絡んでいると話す。

 

「東京五輪後に福田氏が会長職を退くとみられるが、次期会長の最有力が栄氏。対立勢力からは、たびたび栄氏関連のリークがおこなわれている」

 

 場外でフォール寸前の窮地、伊調は引っくり返せるか?
(週刊FLASH 2018年3月20日号)

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