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【オールスター】中日・松山も、オリックス・紅林も、“夢の球宴” 辞退者が続くわけ…MLBでも同様のトレンド

プロ野球『マイナビオールスターゲーム2025』全パ対全セ戦で、レイエスを迎える全パベンチ
日本球界でプレーするスターたちが一堂に集結するため、オールスターは古くから “夢の球宴” と称されてきた。そんな夢の球宴に、いま何が起こっているのか。
『マイナビオールスターゲーム2025』は、7月23・24日の2日間にわたって開催される。初戦は京セラドーム、2戦めは横浜スタジアムが舞台だ。
その夢舞台からの辞退者が発表されたのは、7月18日のことだった。今季、中日の守護神として大ブレイクを果たした松山晋也投手ほか4選手が、ケガを理由に辞退したのだ。さらに、開催1日前の7月22日にも、オリックスの紅林弘太郎が右肩の故障で出場を取りやめている。
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「ここ数年、日本のオールスターでは辞退者が増える傾向にあります。理由のほとんどがケガですが、かつては少々のケガでも無理して出場していました。特に若手はそうで、別リーグの選手との交流や有力選手からのアドバイスを楽しみにしていたんです。
ただ、交流戦ができ、自主トレを他球団の選手と一緒にやることを所属球団がうるさく言わなくなったこともあり、ふだんから交流できることになった。それも、無理して出なくなった理由のひとつかもしれません」(スポーツ紙デスク)
7月22日、オールスターに向けたイベントに出席した日本ハムの万波中正外野手は、「オールスターならではのド派手なやつに注目してほしい。靴からレガースまで派手だと思うので楽しみにしてほしい」と自身のアピールポイントを語った。
「彼のようにお祭り好きの選手や、若くてそれほど年俸の高くない選手は、けっこう気合が入っていますよ。ホームラン競争で優勝すれば賞金100万円で、日産のフェアレディZかアリアのうち、いずれか1台がもらえる。MVPなら各試合300万円ですからね。
でも、ベテラン選手や高給取りにとっては、それより休みたいというのが本音のようです。ちなみにオールスターを辞退すると、後半戦の10試合は出場できなくなるルールがあるのですが……」(同)
オールスターを辞退する流れは日本球界だけの話ではない。「MLBも同様です」と現地記者が語る。
「日本のように球宴を辞退しても罰則はないので、休養や回復のために辞退する選手はいますし、IL(故障者)入りしている選手を除けば、ほとんどの選手が後半戦スタートから出場します。
今回、辞退した選手は10名以上になります。たとえば、ブルワーズの新人右腕ジェイコブ・ミジオロウスキーが、辞退した投手に変わって追加選出されました。ミジオロウスキーはフォーシームの最速は165キロで、スライダーが158キロと異次元のボールを投げる剛腕です。
しかし、わずか5試合に先発しただけで、ほかにもいい投手はいるということで、大きな議論になりました。
出場に懐疑的な意見が多いなか、米日刊紙『USA TODAY』の名物記者ボブ・ナイチンゲール氏が、7月13日(現地)配信の記事で『ミジオロウスキーが出場に合意するまで、オールスターの代替選手を立てるため12人の投手に連絡を取っていた』と説明したんです。
要するに、多くの選手が出場要請に『NO』を突きつけ、ミジオロウスキーは、あくまでも13番めに声がかかったに過ぎなかったわけです。
これは、彼の選出に反対していた選手やファンたちにとって、大きなショックだったはずです。かつてMLBオールスターは “夢の舞台” と表現されましたが、いまはそうでないと判明したわけですから」
話は少々古くなるが、本誌記者が1990年代にオールスターを取材に行ったときのこと。多くのメディアが球界を代表する主砲のグラウンド入りを待っていた。そして、ようやく現れた彼の最初の言葉は「あ~あ、かったりいな。とっとと終わらせて、早く帰ろうぜ」だった。
その言葉には “夢の球宴” への感謝など、なにもなかった。オールスターを忌避する流れは昔からあり、徐々にその機運が高まっていっただけなのかも――。