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イチロー、殿堂入りで見せた英語力…スピーチでは“レジェンド選手”に日本語で感謝を伝える場面も

2025年7月29日、米野球殿堂入り式典に参加したイチロー(写真・アフロ)
米・野球殿堂入りセレモニーが7月27日(日本時間28日)、ニューヨーク州クーパーズタウンで行われ、日本人プレーヤーとしてイチローが初めて選出された。
選手のスピーチでは最後に登壇したイチロー。すると会場に詰め掛けた多くのファンや関係者から、自然と“イチロー・コール”が発生した。
マイクに口を近づけて、「今日、私は、何か経験したことのない感覚に浸っています。ルーキーになるのは3度めです。1度めは1992年、高校からオリックス・ブルーウェーブにドラフト指名されたとき。そして2001年にマリナーズと契約し27歳で(MLBの)ルーキーになりました。(殿堂入りした先輩たちを見て)またルーキーになったと実感しています」で始まったスピーチは、計19分にも及び、イチローは流ちょうな英語で述べていた。
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「現地ファンには、ときに真剣に、ときにウィットにとんだスピーチは、この式典のエンディングに相応しいものとして受け入れられています。今回、イチローのほかにも、通算251勝の左腕CC・サバシア、通算422セーブのビリー・ワグナーなど、そうそうたるメンバーが出席していますが、イチローが“大トリ”だったこともあり、『最後にイチローがすべて持って行った』と評判になっています。MLB公式サイトも『イチローが感動とユーモアで殿堂入りセレモニーのハイライトを飾る』との見出しでスピーチを紹介していました」(現地記者)
日本でも深夜から早朝までの長丁場の式典を見たファンは多く、SNS上でも賞賛の声が相次いでいる。
《イチロー殿堂入りおめでとう こんなに面白いスピーチすると思ってなかった 野茂さんへの敬意もあり感動のスピーチでした 野球やってなくてもあなたのかっこよさに憧れます》
《イチローさん、おめでとうございます そして感動的なスピーチをありがとう》
《このスピーチから多くの気づきや学びが得られました。 イチローさん。ありがとうございます。》
ネットでも声が上がるように、イチローは、日本人プレーヤーが海を渡るきっかけを作った野茂英雄氏へ「野茂さん、ありがとうございました」と感謝を述べた。その言葉は英語ではなく、唯一の日本語だったのだ。
同日、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)の出演していたコメンテーターであり、ニューヨーク州弁護士で信州大学特任教授の山口真由氏も、イチローのスピーチに感動した1人だった。
山口氏は「イチロー選手が英語でスピーチするのを拝見してて、日本語でしゃべるのと全然違うと思いました。間の取り方とか、冗談の入れ方とかが全部、アメリカ人のソレなんですよ」と笑顔。さらに「日本で野球するときと、彼がアメリカ行ってベースボールするとき(を比べると)、彼やっぱりアメリカ人になってアメリカのベースボールをなされたんだなって」と、アメリカ生活を知る彼女ならではの感想を述べた。
「いままでもそうだったんですが、イチローの英語力には何の問題もありませんでした。でも、公式の場では常に通訳が隣にいた。それはちょっとした間違いでイチローというブランドやイメージを崩したくなかったし、誤解を招きたくなかったからのようです。でも今回のスピーチで“通訳いらず”を証明したわけです」(前出・現地記者)
殿堂入りスピーチは、イチローにいろんなことをもたらしたようだ。