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「協会のやり方が違う」八村塁 “不仲”のホーバス監督体制を批判…2027年W杯予選は“死の組”で突破困難か

八村塁
54年ぶりの優勝を目指し、固い決意のもと挑んだ試合だったが……。
8月13日、男子バスケットボール日本代表は『FIBAアジアカップ2025』ベスト8決定戦でレバノンに惨敗。73-97の大差で敗れ、ベスト8で敗退した前回大会の成績を下回る結果となった。
「今回のアジアカップには八村塁、渡邊雄太、河村勇輝と代表の“ビッグ3”が不在だったとはいえ、代わって代表入りした選手たちがアジアレベルで苦戦したことを考えれば、実力不足が浮き彫りになったといえるでしょう。この数年、バスケブームでBリーグも繁栄のときを迎えていましたが、代表の惨敗はリーグの低迷につながる危険性があることは、他競技でも証明済みなので心配です。
昨年のパリ五輪ではドイツ、フランス、ブラジルに3連敗したとはいえ、世界の強豪相手に健闘しました。とくに準優勝のフランスをあと一歩のところまで追いつめるなど、日本男子バスケの未来は明るいと見られていただけに、今回の負けは痛いですね」(スポーツライター)
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アジアカップの早期敗退で今後代表が目指すのは、2027年のW杯アジア1次予選ということになる。これは2028年ロス五輪出場権の獲得に向けて重要な意味を持つだけに、もちろん負けられない。
「すでに1次予選の組み合わせが決まっていて、日本は中国、韓国、台湾と同組です。世界ランキング的にも日本が最上位ですし、組み合わせが決まった5月の時点では楽観視されていました。4チーム中3位までに入れば2次予選に進出できますから。
ところが、アジアカップで日本は惨敗した一方、中国2位、韓国5位、台湾6位と3カ国とも日本より上位の成績を残した。楽観ムードが一転、W杯1次予選は“死の組”となってしまいました。ここで一挙に『ホーバス監督ではロス五輪には出られない』との悲観論が加速していきました」(同前)
ホーバス監督の去就は昨年から注目されてきた。理由は日本代表の“要”である八村塁との不仲が大きい。
「昨年のパリ五輪の際、ホーバス監督はフォーメーション練習でうまくいかないと、わざと八村選手に強く当たるんです。ホーバス監督は、八村選手に対しても引かない、という姿勢を見せたかったんだと思います。興奮してくると、よくアメリカの監督がやるように、手を出さないよう後ろで組みながら顔を突き出して、『君はスターだろうけど、俺のチームにスターは必要ない。チームのために自分を捨て、犠牲になって貢献しろ!』とまで言っていました。さすがに八村選手も『そのつもりでやっている!』と言い返していました。
両者の亀裂は深い溝となり、八村はチームから離れる際、ホーバス監督にひとこともあいさつをしなかったそうです。八村は現在もNBAのロサンゼルス・レイカーズでスタメンでプレイする日本人最強選手といっても過言ではないです。そんな選手と監督が仲たがいしているようじゃ、この先勝ち星を増やせるのか甚だ疑問ですね」(バスケットボール協会関係者)
2024年11月には八村が「日本代表にふさわしい、男子のことをわかっている、プロとしてもコーチをやっていたことがある、そういう人がコーチになってほしかった」と、ホーバスHCを批判したことで2人の関係は最悪とされている。そして8月18日、八村は名古屋市のIGアリーナで会見を開き、改めて「ここ2、3年協会のやり方が違うんじゃないかなと指摘しているだけ」と“協会批判”について言及した。
「八村は『僕は日本の代表、バスケが良くなってほしいというのは、僕の心からの思い。それ以外は何もない』と強調しましたが、公の場で再度、批判したことから両者の溝はまだ埋まっていないことが露呈してしまいました。すなわち、ホーバス監督がHCを務める間は八村の代表復帰は難しいということだと思います」(スポーツ紙バスケット担当記者)
じつは、W杯本戦の出場を逃すことになれば、ロス五輪出場は非常に厳しくなる。というのも、W杯に出てアジア最上位になれば、その時点でロス五輪出場が決まる。だが、W杯に出場できなければ、予選で敗退した8チームによる予備予選で1位となって初めて五輪世界最終予選に出場できる。ただし、ここに出てくる国はアジアよりもレベルが高いとみられ、勝ち抜くことはかなり難しくなる。その戦いを避ける意味でも、何とかW杯に出場したいところだが、八村が出場しないとなれば、五輪出場の可能性は限りなくゼロに近づくことになる。
パリ五輪での躍動で高まった日本代表への国民の期待を裏切る結果にはなってほしくない……。