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高校野球“不作の年”ドラフトの目玉は佐々木麟太郎! 2年後導入のセ・リーグ「DH制」で1位指名“急増”の可能性

佐々木麟太郎(写真・アフロ)
数々の感動を生み、そして沖縄尚学の初優勝で幕を閉じた今夏の甲子園大会。主役となった“彼ら”の舞台は今後、プロへと移っていくと誰もが期待したことだろう。
しかし、長年アマチュア野球、そしてドラフトを取材してきたベテランのスポーツライターは首を傾げる。
「広陵の途中辞退など、考えさせられる部分はありましたが、好勝負が多かったことも事実。あらためて『高校野球はいい』と感じたファンは多かったと思います。ただ、好選手は多くいましたが、スカウトを『これだ!』と唸らせる選手ははっきり言って多くありませんでした。有力な1位候補が少なく、“不作の年”と言い切るスカウトがいたほどです」
そうした現状が大きく変わったのが「8月18日のことだった」と続ける。
「花巻東高からスタンフォード大へ進学した佐々木麟太郎が、今秋の日本のドラフトで指名対象となることが明らかになったことです。これで“大きな目玉”が誕生しました」
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佐々木は菊池雄星、大谷翔平を輩出した花巻東高出身で、佐々木洋監督は実父。高校3年間で、それまでの記録だった清宮幸太郎の111本を大きく上回る140本を放っている。
当然、2年前のドラフトでは大注目だったが、「(将来に向け)野球以外の世界も見てみたい」と米留学を表明したため、各球団のリストから消えた過去がある。
「バッティングの実力は、記録からも分かるように飛び抜けていますが、守備はお世辞にもうまいとは言えません。しかも守れるのは一塁だけだったんです。もし2年前のドラフトの対象だったら、指名する球団はほとんどがパ・リーグで、セ・リーグは敬遠していたはずです。
しかし、2027年からとはいえ、セ・リーグにもDH制が導入されます。これだけの逸材ですから、セ・リーグのチームとしては1年間、我慢して使い続けるか、あるいはまだ20歳ですから2軍で育てるか、1年間ならいろいろな選択肢があります。1965年に始まったドラフトで、もっとも多い球団から1位指名されたのは、1989年の野茂英雄と翌年の小池秀郎の8球団ですが、セ・リーグにDH制が導入されることで、この記録を抜く可能性も出てきました」(スポーツ紙デスク)
佐々木はスタンフォード大入学前に「2年後にNPB、MLB両方のドラフトにかかるチャンスがある。そのレベルに達するように、野球選手としてレベルを上げたい」と語っていたが、最初のチャンスが今秋で、次のチャンスが2026年7月。日米で争奪戦が繰り広げられる可能性が出てきた。