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WBCを独占配信! Netflixがスポーツ界に乗り出した背景に“1兆円巨大企業”が舵を切った“効率化戦略”

2023年に開催された第5回WBCでは、日本が優勝した(写真・時事通信)
2026年3月に開催される野球の国際大会、ワールド・ベースボル・クラシック(WBC)の47試合を、米大手動画配信会社「Netflix」が独占配信することが決まった。大手紙経済部記者の解説。
「主催するワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)によれば、独占配信は日本向け配信分です。WBCIにNetflixが支払った権利料は150億円だそうですが、日本が優勝した前回大会の、決勝戦の国内瞬間最高視聴率は46.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、約5000万人以上が視聴していたとされます。Netflixの月額利用料は約900円からですから、前回並みの視聴者があれば最低でも450億円ほどの収益にもなるとみられています」
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前回の放送権料は約30億円だったという。Netflixからすれば、5倍払っても十分に勝算があると考えた結果といえそうだ。
そもそも同社は、直近の四半期(4~6月)だけで111億米ドル(約1兆6500億円)も稼ぎ、今期の通期予想は452億米ドル(6兆6000億円)、純利益は100億米ドル(1兆4600億円)を超えると見込まれている超巨大企業。150億円の放送権料など、毛の先ほどの出費なのかもしれないが、じつは同社は、配信するコンテンツの大幅な見直しをしているのだという。「その傾向は、ここ数年で顕著になりました」と語るのは、同社に詳しい興行関係会社のアナリストだ。
「じつは同社の営業キャッシュフローが、2023年から飛躍的に伸びているんです。理由は、制作費のかかるオリジナルドラマの制作数を絞ったためです。
同社はそれまで、オリジナルドラマの制作に巨額投資をしていました。そのため、売り上げに対して利益が少ないことが問題視されていたんです。こうしたオリジナルドラマを減らし、格闘技やプロスポーツの独占放送、リアリティショーを始めとするバラエティ番組を、代わりに投入しているわけです。
また2022年には、視聴者数が頭打ちになったことで、広告つき低価格の新プランを導入しました。広告を視聴することで、利用者は月額料金を低額に抑えられる一方、会社に広告料が入るようになりました。同社は現状で有料加入者数を公表していませんが、こうした方針転換も成功しているようです。この四半期の増収は会員の純増と広告収入だと認めています」
巨大資本の「効率化戦略」に、WBCも巻き込まれたというわけか――。