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大坂なおみ、グランドスラムベスト16進出で次戦は「因縁の相手」…世界ランク3位相手に連勝できるか

2025年8月31日、グランドスラムベスト16進出を決めた大阪なおみ(写真・アフロ)
強いなおみが帰ってきた──。
テニスのグランドスラム今季の最終戦、全米オープンが連日ニューヨークで熱戦を繰り広げている。8月30日(日本時間31日)には女子シングルス3回戦がおこなわれ、第23シードの大坂なおみが、第15シードのダリア・カサトキナ(豪州)を6-0、4-6、6-3のフルセットの末破り、ベスト16進出を決めた。
大坂が全米オープンでベスト16に進出したのは、2度めの優勝を果たした2020年以来、初めてのことだ。
大坂といえば、2016年、18歳の若さで世界ランキング47位となり、翌年にはトップ10の選手に初勝利を収め、2018年には男女を通じて日本人選手として初めて全米オープンで優勝した。その後はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで勝ち進み、2021年までの間に全米、全豪ともに2回の優勝を果たし、世界ランキングでも「日本人では夢のまた夢」と言われた1位を獲得した。
だが、頂点を極めるスピードは速かったが、その椅子に長くはいられなかった。
「大坂選手を支えていたコーチら “チーム大坂” とうまくいかなくなったことがきっかけでした。何度コーチを変えてもうまくいかず、それに加えてケガやメンタルの不調もあり、世界ランクは一時期85位まで落ちました。
さらに、出産も加わり、ツアーから離れることとなりました。出産後に元の体重や体力に戻すには時間もかかるし、大変な苦労を強いられます。まして大坂の場合は一度頂点を極めていますから、このまま引退するのでは、と囁かれたほどです。
しかし、苦しいトレーニングをやり続け、ようやく世界の舞台に帰ってくることができました。これまで苦労していたコーチ問題も、今夏にポーランド人のトーマス・ビクトロウスキ氏を招きましたが、これがうまくいったようです。彼は世界ランク2位のイガ・シフィオンテクを育てた実績がありますから。
大坂選手としても、彼に任すことで安心感を得たようです。プレー内容もこれまでパワーを前面に押し出していましたが、今大会では緩急をつけたテニスをできています」(テニスライター)
楽しみなのは、次戦のベスト8を賭けた一戦。相手は第3シードのココ・ガウフ(アメリカ)だ。彼女はちょっとした “因縁” がある相手でもある。
2人はこれまで5回対戦し、ガウフの3勝2敗だが、“事件” は2019年全米オープンで起きた。このとき大坂は世界1位。ガウフは将来を嘱望された存在だったが、まだ15歳。結果は大坂の6-3、6-0となり、完敗したガウフは号泣した。
試合後、インタビューを受けるのは勝者だけだが、涙に暮れるガウフを見て、大坂は一緒にインタビューを受けることを提案する。
ガウフは「彼女は私が驚くようなプレーをしたと褒めてくれた。インタビューについては一度断りましたが、彼女がやるようにと勇気づけてくれた。彼女はすごかったし、私はこの試合から多くを学ぶと思う。この機会をくれたことを感謝している」と述べた。
その言葉どおり、彼女はこの敗戦から多くを学んだようだ。あれから6年経ち、ガウフは2023年に全米、2025年に全仏を制し、世界ランクも3位まで上昇している。一方、大坂は出産を経て、ようやく世界ランク24位まで戻ってきた。2人の立場は大きく逆転しているが、はたして今回の一戦で涙を流すのはどちらか──。