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【阪神優勝】早くも“名将”の声響く藤川球児監督、就任1年め“最速V”達成の裏で挑んでいた「2つのタブー」

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記事投稿日:2025.09.09 19:20 最終更新日:2025.09.09 19:20
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
【阪神優勝】早くも“名将”の声響く藤川球児監督、就任1年め“最速V”達成の裏で挑んでいた「2つのタブー」

プロ野球セ・リーグで2年ぶり7度めの優勝を決め、胴上げされる阪神・藤川球児監督(写真・共同通信)

 

 球団創設90周年の節目の年に、セ・リーグ最速優勝を果たした阪神タイガース。12球団最強の投手陣に、ついに覚醒した佐藤輝明内野手の豪打で、他チームの追随をまったく許さなかった戦いぶりは賞賛に値するだろう。

 

 と同時に、就任1年めの藤川球児監督の手腕も見逃せない。評論家時代から抜群の分析力ときめ細かな解説は評判を呼んだが、監督になっても、虎ファンを裏切ることはなかった。また、歴代監督とは一線を画して対話時間を増やすなど、人心掌握術にも長けていた。それは多くの選手が「藤川監督のために」という言葉を使っていたことからも分かる。

 

 長年“トラ番”を務めてきたベテランの阪神担当記者は、藤川監督について「2つのタブーに挑んだ」と語る。ひとつめは、クライマックスシリーズ(CS)の是非についてだ。

 

 

「監督になってから藤川さんは、前にも増して言葉を選びながら話すようになったんですが、その分、優勝を決めた後、大歓声に包まれた優勝インタビューでは、解放されたかのように思いのたけを吐露したように感じました。その発言とは『この143試合はペナントレースという競技でして、ペナントを取る1チームだけがチャンピオンですから、我々がリーグチャンピオンです!』と、力強く宣言したことです。その言葉の裏側には『チャンピオンが決まったのに、この後、CSをやらなければいけないのか』という訴えだったと思います。

 

 実際、優勝した時点で阪神は、2位巨人に17ゲーム差をつけ、しかも巨人は勝率5割を切っていたわけです。いち監督が、決まったルールにここまで強く言うのはなかなかないこと。しかし、ほとんどの人が藤川監督の考えに共感していたと思います」

 

 もうひとつは、OBとの距離感だ。報道陣との一問一答のやり取りで「監督1年めでの優勝は球団初ですが、どうでしょうか」と問われると、「難しかったのは選手たちとの距離感。OBのみなさんとも距離を置き、没頭する形でグラウンドに立ち続けた。先輩たちには戦うためだったと、お許し願いたい」と回答した。

 

「じつは阪神の球団OBは、12球団のなかでも『口を出す』ことで有名なんです。キャンプなどで、目の前でコーチが指導していても何か言わないと気が済まないOBが大勢います。またシーズン問わず、夜の街に誘い出すことも多い。それらを藤川監督は絶ったわけです。阪神の歴史上、ここまでやった監督はいないのではないでしょうか。それだけOBへの断りはタブー視されていただけに、藤川監督の決断は評価されています。

 

 生前の野村克也氏は、『阪神には多くの敵がいた。まずは対戦相手。次が担当記者などのマスコミ。次に球団の背広組がきて、最後が球団OBだった』と語っていました」(同前)

 

 野村氏いわく「キャンプではOBが教えるのが当たり前と思っているのか、そこら中に“教え魔”がいたな。また、ミーティングでも驚かされた。始まってしばらくすると、多くの選手が腕時計を見始めるんだ。ソワソワしながらな。あとで分かったんだけど、OBが誘っていて、選手はその集合時間が気になっていたんだ。そんなんじゃ重要な話も入ってこないよ。スタッフに『何とかしろ』と訴えたけど、改善されることはなかったな」。球界一の名将ですらお手上げ状態だったのだ。

 

 そうしたタブーに、まだ45歳にして就任1年めの新米監督が挑んだわけだ。藤川球児は、早くも名将への道を歩みはじめた。

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