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「世界陸上」 観客動員数61万人&賞金総額約12億円の大規模イベントに…来年からは『アルティメット選手権』開催で加速する商業化

世界選手権東京大会の最終日に行われた北京大会への引き継ぎ式(写真・共同通信)
9月21日に幕を閉じた「東京2025世界陸上」は大成功だったと言っていいだろう。
「なにしろ9日間の入場者数が61万人超で、2007年大阪大会の約35万人、1991年東京大会の約58万人を大きく上回りましたから。今大会は9月13日から土日、祝日は2部制、平日は夜の部のみで開催するなど、暦をうまく利用したことも功を奏しましたね。
大会前は『観客が集まるのか』といった不安の声は多かったですが、大会初日からそういった不安は払拭されました。最終日は大雨が国立競技場を襲い、男子円盤投げや女子高跳びは中断がありましたが、男女のリレー種目など、注目の種目が目白押しであり、チケットを購入した人たちは国立競技場を目指し、入場した人たちは席を立とうとしませんでした。実際に夜の部の観客数は5万8723人と、今大会最多の人数でした」(スポーツ紙記者)
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この盛り上がりを受けて、21日、世界陸連のセバスチャン・コー会長は、記者会見にて「日本の皆さんの熱狂ぶりを感じられた。記憶に残る本当に素晴らしい大会だ」と絶賛した。
「世陸」は1983年、フィンランドのヘルシンキで産声を上げ、第3回の東京大会までは純粋にアマチュア選手が集まって開催される大会だった。しかし、ほかの競技の流れにも乗って、第4回のドイツ・シュトゥットガルト大会からは上位入賞者に賞金が授与されるようになり、同大会の金メダリストには副賞として開催国ドイツにちなみ高級車メルセデス・ベンツが贈られた。陸上のプロ化が進むきっかけとなった大会でもあった。以後もその流れは変わることなく、賞金は上がっていった。
今回、合計49種目が行われたが、上位入賞者には賞金が授与され、総額は849万8000ドル(約12億6000万円)にのぼる(1ドル148円で計算)。個人種目の金は7万ドル(約1036万円)、銀は3万5000ドル(約518万円)、銅は2万2000ドル(約326万円)など8位までが賞金ゲット。世界新記録には別途、10万ドル(約1480万円)のボーナスが贈られる。今大会、最も稼いだのは、男子棒高跳びで3連覇のアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)だ。6m30で今大会唯一の世界新記録をマークし、順位賞金とボーナスで計17万ドル(約2516万円)を獲得した。
「もともとプロだったゴルフやテニスに比べれば優勝賞金は到底かないませんが、元アマチュアの競技のなかでは陸上は優勝金額が高いと認知されています。例えば水泳ですが、『世界水泳』で優勝者には2万ドル(約296万円)、続いて2位、3位にはそれぞれ1万5000ドル(約222万円)、1万ドル(約148万円)と陸上に遠く及びません」(スポーツライター)
また、世界陸連は、新たな選手権「世界陸上アルティメット選手権」を立ち上げることを発表している。同大会は「世界陸上王者」「五輪王者」「ダイヤモンドリーグ覇者」「年間最優秀選手」が対戦し、王者のなかの王者を決める大会として位置づけられている。当然、賞金総額も陸上競技では史上最高額となる1000万ドル(約14億8000万円)。しかも、各種目の優勝者には15万ドル(約2220万円)が贈られることが発表された。第1回大会は2026年9月11日から3日間、ハンガリー・ブダペストでおこなわれる。
元アマチュア競技の陸上も商業化が進んでいるようだ。