
2025年9月21日、中日戦で降板となりうつむく巨人・田中将大
愛着のある楽天に別れを告げ、悲願である200勝、そして名球会入りするために今季巨人に移籍した田中将大。ただ、その雲行きは怪しい──。
9月24日現在、田中の成績はわずか9試合に先発して2勝4敗、防御率は5.31と振るわない。200勝までのあと1勝が遠く、2013年に24勝0敗と打者を圧倒した姿はない。
「9月21日の前回登板がそれを象徴していますよ。得点、打率共にセ・リーグワーストの中日に対し、初回に2点のリードをもらったものの、リードを守ることができず、6回途中5失点KOを食らってしまいました。8月21日のヤクルト戦で199勝めを挙げて“王手”をかけながら、これで悪夢の3連敗となった。開幕前は200勝まであと3勝だったため、達成は時間の問題と思われましたが……」(巨人担当記者)
田中の今季、最後の先発は、9月28日のヤクルト戦に決まったようだ。
【関連記事:さながら「裏アカ女子」…伊野尾慧が披露した“衝撃姿”にファン驚愕、大学院では真逆の“硬派論文”も】
「今季、ヤクルト戦には2試合投げて1勝0敗、防御率1・69、被打率.150と相性がいい。しかもチームとしてもヤクルトに今季、16勝8敗と“お客さん”にしていますから、田中にとってはこれ以上ない相手なのです」(同前)
さらに、この試合の見どころはそれだけではない。巨人担当記者は、「今後の野球人生を決める大事な登板でもある」と続ける。
「春季キャンプでは、投手を再生させることに長けた“魔改造”久保康生巡回投手コーチによるマンツーマン指導の特権を与えられた。シーズンに入っても調子が上がらなければ2軍での調整が許された。移籍1年めながら、これ以上ない待遇だったわけです。でも、期待を大きく裏切る結果しか出せなかった。それだけに、最終登板では200勝を達成するとともに、来季も戦力になるという力を見せつけなければいけません。
というのも、田中は1年契約なんです。しかも今季の年俸は推定1億6000万円です。もし9月28日に勝っても3勝止まりですから年俸に見合った成績ではありません。なので、来季以降も巨人でプレーするなら、大幅減俸を受け入れるしかありません。この成績なら半額以下の5000万円となっても文句は言えないはず。巨人としても、それくらい厳しい査定をしなければ、ほかの選手に対して示しがつきません。昨季、楽天とは事実上年俸で揉めただけに、田中がプライドを捨て、大幅減俸を受け入れるかどうかも注目されます」
一方、楽天時代に田中を“兄貴分”と慕っていたのが安樂智大。2023年までは楽天の中継ぎとして3年連続50試合以上の登板を果たし、“勝利の方程式”の一角を担っていた。ところが同年オフに複数の選手がハラスメント行為を安樂から受けたと訴え、球団は契約更新をしないことに決めた。その際、田中は安樂の蛮行を見て見ぬふりをしていたとされ、チームで孤立に追い込まれたばかりか、翌年には楽天から巨人へ移籍する結果となった。
低迷を続ける田中に対し、安樂は2024年にメキシコに渡り、同リーグのレッドデビルズで存在感を示している。昨年は47試合に登板し、1勝2敗4セーブ、防御率3.50をマーク。優勝決定戦で胴上げ投手に輝いた。そして、2025年はそれ以上の活躍を見せた。クローザーを任され、47試合に登板してリーグ最多の22セーブを挙げ、防御率も2.98と抜群の安定感。野球通が揃うレッドデビルズのファンからも実力は認められ、「El Emperador(皇帝)」と呼ばれるまでになった。
「日本にいるときのストレートの球速は平均145km程度でしたが、メキシコでは常時150km前後が出ているようで、成長したと評判です。今後について、本人は日本球界への復帰を望んでいます。メキシコでは2年プレーしたわけで、『それで禊が済んだ』と判断されれば日本球界復帰が現実味を帯びます。
復帰の第一候補は古巣の楽天でしょう。2023年に楽天を退団した際、球団幹部は『(契約については)2024年は考えていないが、今後、彼の行動や行いを見てあげたい』とサポートすることを約束しています。時期はわかりませんが、安樂が日本球界に復帰するとしたら、楽天しかないと見られています」(スポーツ紙デスク)
“師弟コンビ”の進んだ道は明と暗に分かれ始めたようだ。