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大谷翔平 “本当の人気”をロス現地で直撃!「野茂フィーバーの100倍、ケタが違うよ!」

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記事投稿日:2025.09.26 06:00 最終更新日:2025.09.26 06:00
出典元: 週刊FLASH 2025年10月7日号
著者: 『FLASH』編集部
大谷翔平 “本当の人気”をロス現地で直撃!「野茂フィーバーの100倍、ケタが違うよ!」

スタジアムでは、何種類ものシャツやユニホームが販売されている。「大谷グッズの売り上げは断トツだわ」(ジュリアさん)

 

 ロサンゼルスのダウンタウンにあるリトル・トーキョー。アメリカ最大級の日本人街は、いまやドジャース大谷翔平(31)を象徴する街になりつつある。その中心に位置するスポーツバー「FAR BAR」は、大谷フィーバーの発信源のひとつだ。巨大な壁画が立つミヤコホテルの向かいにあり、試合当日には多くのドジャースファンで溢れる。店内にある複数のテレビモニターには野球中継が流れ、ホームランの瞬間には客席から大きな歓声が上がる。

 

 そこで出会ったのは、ドジャースタジアムの厨房で働く中国系アメリカ人のジェームズさんと、1970年代にメキシコから移住してきたダニエルさん。2人の言葉からは、大谷が現地でいかに特別な存在になっているかが伝わってきた。

 

 

「大谷のように投打で活躍する選手はベーブ・ルース以来だ。1910年代からの話だから、ほとんどの人が見たことがない。彼がどれほど特別かわかるだろ」(ジェームズさん)

 

「しかも謙虚なんだ。6月のパドレス戦で報復死球を受けたとき、普通なら投手に詰め寄って乱闘になる。100マイル(約160km/h)の剛速球をわざとぶつけられたんだからね。でも翔平はチームメイトをなだめ、試合に戻ろうとした。あれは忘れられない」(ダニエルさん)

 

 現地のファンが語るのは、たんなる記録や数字だけではない。彼らは「人としての大谷」を支持しているのだ。もっとも、期待が大きいぶん、活躍できなければその反動も大きいかもしれない。

 

「もしドジャースで一度しかワールドシリーズを制覇できなかったら、ファンは失望するだろう。翔平なら三度、四度は優勝すべきだと誰もが思っている」(ジェームズさん)

 

 実際、大谷をめぐって唯一取り沙汰されたのはドジャース移籍直後の元通訳・水原一平氏のギャンブル事件だった。

 

「たしかに翔平の関与を疑う声もあったけど、翔平はスマホなどをすべて差し出し、身の潔白を証明した。奥さんも美人だし、人として完璧すぎだよ(笑)」(ダニエルさん)

 

 リトル・トーキョーの「FAR BAR」は、大谷効果で大きく様変わりした。コロナ禍でアメリカ経済が冷え切っていたことに加え、ロサンゼルスのダウンタウンの中でも最も治安が悪いとされ、麻薬中毒者やマフィアらによる凶悪犯罪が絶えないスキッド・ロウ地区に隣接していたこともあって人が寄りつかず、ひどく寂れていた。だが、大谷のドジャース加入で街は再び活気を取り戻し、大谷はここでも救世主になったのだ。同店のオーナーの日系人、ドン・タハラさんはこう語る。

 

「かつて、ドジャースでは野茂英雄のフィーバーがあった。たしかに野茂はノーヒットノーランをやって、ホームラン(投手ながら通算4本塁打)も打った(笑)。でも野茂は投手だけで、ワールドシリーズだって勝ってない。その後も石井一久、黒田博樹、前田健太ら、多くの日本人選手がプレーした。でも、翔平は100倍規模が違う。すでにMVPを三度獲得し、国際的な存在感も圧倒的だ。イチローもすばらしい選手だったが、翔平は『最高の中の最高』だよ!』

 

 店には「ショータイム・カクテル(12$)」や「ショウヘイ・ロール(10$)」といったメニューまで登場。さらに、大谷がホームランを打つと、その場にいる客全員に酒を一杯無料で振る舞うという。タハラさんは苦笑する。

 

「打ちすぎるから本当はやめたいんだけどね。1試合で3本も打ったときは、本当に大変だった(笑)」

 

 常連客の一人、DJでミュージシャンのネド・カスアルさんも “大谷信者” だ。

 

「俺はここで生まれ育ったけど、去年のワールドシリーズで優勝した夜、リトル・トーキョーの1stストリートが人で埋め尽くされたのには驚いた。翔平がいなければ、こんな熱気はなかったはずだ。だから、彼がエンゼルスでプレーしていたころは本当にイライラしていた。なんで、翔平が(人気球団のドジャースに比べ規模が小さい)エンゼルスなんかでプレーしているんだってね(笑)」

 

 女性人気についても、店員のアリアンさんは率直だ。

 

「翔平はプレーだけじゃなく人として立派。だから女性にも大人気よ。だって、カッコいいしリッチだからね(笑)」

 

■フリーマンやベッツとの人気の差は歴然

 

 リトル・トーキョーを出てドジャースタジアムに向かえば、そこも大谷一色だ。日本で大谷の活躍を目にするたびに、一度は現地で観戦してみたいと思っている人も多いかもしれない。ただ、円安に加え現地はインフレ、治安の不安(ロスの治安は東京と比較にならないほど悪い)もあって、足が重いのもわかる。ただ、現地に行けば観戦はそれほど困難ではなく、チケットもスマホさえあればMLB公式チケットアプリ「MLB Ballpark」に登録することで簡単に購入できる。

 

 シーズンの行方が決まる大一番や誰かの大記録がかかっているなど特別な試合でない限り、チケットの入手に困ることもないだろうし、試合当日に窓口で買うこともできる。ちなみに、チケットは流行りのダイナミック・プライシング(需要と供給のバランスに応じた変動価格制)で、安ければ30$くらいから購入可能だ。

 

 球場内のユニホームショップでは「大谷、大谷、山本(由伸)、大谷、山本、大谷……」とシャツが並び、ほかの選手を圧倒している。スタッフのジュリアさんは「売れ行きは翔平が断トツ。フリーマンやベッツも人気だけど、差は歴然」と話す。

 

 アートショップで働くクリストファーさんは、大谷の人柄をこう強調する。

 

「翔平はみんなが期待した結果を残すだけでなく、家族や犬を大事にする誠実な人。去年のプレーオフで、外角球を確実にミートしてシングルヒットにして得点に繋げた場面が忘れられない。ホームラン狙いではなく、チームの勝利を優先した。そういうところが愛される理由だと思う」

 

 スーパースターの場合、大抵は裏の顔があるものだが、大谷に関してはそういうものがいっさい出てこないから不思議である。

 

「彼ほどのアスリートになると、多くの注目が集まり外食をするだけでも簡単じゃないだろうけど、ファンとしてはもう少し身近な存在だったらとは思う。今はサインをひとつもらうだけでも簡単ではないからね。性格は控えめだから、もっとスターらしく派手さを出したほうがいいと言う人もいるかもしれない。でも、私にとっては今の翔平が最高だよ」(同前)

 

 ドジャースファンのマリオさんは大谷を「投げて、打って、走るすべてをこなすモンスター」と評し、こう続けた。

 

「翔平ほど投げて打てる選手がほかにいるとは思えない。去年のプレーオフ地区シリーズのパドレス戦で、翔平のホームランがチームを勢いづけたのはいまだによく覚えている。先月27日には、レッズ戦で投手として749日ぶりに勝利を挙げた。翔平は最高だよ」

 

 一方、大谷をどう位置づけるかを語るのはスポーツジャーナリストの視点だ。ロサンゼルスを拠点に活動する「The Sporting Tribune」のロブ・ヤロン記者は、サッカー界の英雄メッシとの比較を持ち出した。

 

「メッシは20年近く、サッカー界のアイコンとして頂点に君臨してきた。世界中どこへ行っても彼の名前を知らない人はいない。それはサッカーというスポーツの規模の大きさもあるし、彼自身の実績も桁違いだからだ。

 

 対して、大谷はまだキャリアの途中にある。確かに大谷はアメリカと日本ではスターだが、メッシのように世界中で『誰もが知る存在』という域には到達していない。それでも共通しているのは、 “競技を超える象徴性” を持ち得る点だ。つまり、メッシがサッカー界の絶対的アイコンであるように、大谷も野球界でその立場に到達する可能性を秘めている。両者はともに “勝者” であり、時代を代表するアスリートなんだ」

 

 大谷はプレーでファンを熱狂させ、人柄で人々を魅了し、ロサンゼルスという街全体をも変えている。今季も、ドジャースはプレーオフ進出が濃厚だ。ロサンゼルスでも人気を絶対的なものにしている大谷フィーバーはどこまで続くのかーー。

 

取材&文・栗原正夫

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