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勝てないドジャーズ、数少ない好材料はやっぱり大谷翔平…選手登録枠「1人増し」の “大谷ルール” 発動間近

歓声に応える大谷翔平(写真:Imagn/ロイター/アフロ)
いくら大谷翔平が異次元の活躍を見せても、結局は勝てなかったエンゼルス時代。ファンは嘆き、怒り、そして呆れた感情を “なおエ” という言葉に置き換えた。言うまでもなく、「なお、エンゼルスは試合に敗れた」の略語だ。
まさかその感情が、大谷がドジャースに移籍しても継続されるとは、ファンは思ってもみなかったのではないか。
現在、“なおド” の要因はこれに尽きる。先発陣がいくら好投しても、終盤にリリーフ陣が撃ち込まれてサヨナラを含む逆転負けが多いことだ。
たとえば山本由伸。9月は4試合に先発し、28回を投げ、自責点3の防御率0.96だ。大谷は3試合に先発し、14回2/3を投げて自責点は0。当然、防御率も0.00となる。
ところがである。2人がこれだけの投球を見せても、揃って勝ち星はない。要するに、勝利投手の権利を持って降板しながら、2番手以降の投手が同点、あるいは逆転されているからだ。
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9月24日(日本時間25日)、ド軍のブレイク・スネルが6回を1失点に抑え、勝利投手の権利を得て降板。だが、案の定というか2番手のアレックス・ベシア、続く3番手のエドガルド・エンリケスが撃ち込まれ、同点に追いつかれた。
延長に入って、なんとか勝ち越して勝利を収めたが、ポストシーズン(PS)に向け不安ばかりが目立つ。
「この日の勝利で、ド軍はマジック1となり、明日にも地区優勝が決まります。ただ、優勝しても勝率が3位のため、ワイルドカード3位のチームから戦わなければならず、シード権がない。そんな厳しい状況のなか、中継ぎ陣の不振はさらに深刻化していますし、抑えも決まっていません。
打線でも主軸が調子を上げてきたなか、昨季のワールドシリーズMVPのフレディ・フリーマンの9月の打率は2割5分台まで下がり、心配されています。
そんななか、数少ない好材料が大谷。プレーはもちろんですが、存在自体が非常に大きいんです」(現地記者)
MLBでPSに出場できる資格を持つ選手登録枠、いわゆるロースターはレギュラーシーズン同様、総勢26人で構成され、そのうち投手は13人を超えてはならないルールがある。
そこで大谷である。
「彼は二刀流のため、指名打者(DH)の出場枠で登録しておけば、投手としての出場も可能です。いわゆる “大谷ルール” で、ド軍は大谷以外に13人の投手を登録できるわけですから、これは大きいですね。
PSは短期決戦のため、野手は複数のポジションを守れる選手、投手でも先発、リリーフの両方ができる選手が好まれる傾向にあります。他球団からは『大谷のために作られたルール』といった不満も出ていますが、MLBでも二刀流は認められています。しかも、大谷以外、誰も挑戦しないわけですから、言いがかりにすぎません」(同)
先発投手が降板後もDHとして試合に出場し続けられる “大谷ルール” は、2012年のオールスターで初めて採用され、公式戦では2022年から適用された。
ただ、当時の大谷はPSに縁のないエンゼルスに在籍し、2024年は投手としてはリハビリのためDHに専念した。現在、二刀流としてプレーするのは大谷だけであり、今年のPSが実質、“大谷ルール” の初めての発動となる。