
ドジャース戦で好投した、阪神の才木浩人投手(写真・桑原靖)
2025年セ・リーグのクライマックスシリーズを前に、虎ファンにとって無視できないニュースが飛び込んできた。
9月29日、一部報道によると、阪神の才木浩人投手が、早ければ今オフにポスティングシステムを利用してメジャー挑戦を目指すという。
「もともと才木は、MLB挑戦の気持ちが強かったんです。実際、昨オフの契約更改後の会見では、将来的なメジャー挑戦を公言していましたから。ただ、『まさか1年後とは』と、虎ファンのみならず球団幹部も思っているでしょうね。
才木が手のひらを返すようになった原因は、今年3月のドジャースとのプレシーズンマッチですよ。才木はド軍相手に先発し、5回を投げて1安打無失点に好投。150km超えの速球と切れ味鋭いスプリットで、大谷翔平を2打数ノーヒット1奪三振に抑えました。
この結果が、気持ちをよりMLBに近づけたようです。また、試合後には積極的にメジャーリーガーに話しかけ、ド軍でローテーションの一角を担うタイラー・グラスノーには、勝負球であるカーブの握りを教えてもらっていました。その表情はまるで野球少年のように嬉しそうでした」(阪神担当記者)
才木の好投は、MLBのスカウトたちも目を見張るものだったという。
「試合前はそれほどマークされていなかったようですが、ド軍相手の5回零封で、注目度も、がぜん上がったようです。
現在、打者では村上宗隆(ヤクルト)、投手では左の宮城大弥(オリックス)、右の才木をスカウトは徹底マークしているようです。その証拠に、今季の才木の登板の際は、MLBのスカウトたちが多く球場に詰めかけていました」(同)
阪神はこれまで井川慶、藤浪晋太郎、青柳晃洋と3投手にポスティングでのMLB移籍を認めてきた。それだけに、「才木の移籍に障害なし」と見る向きもあるが、「今回は、そう簡単に話は進まないだろう」とスポーツ紙デスクは語る。
「才木は、今季リーグトップの防御率1.55で、初のタイトル獲得が既定路線でしょうし、チームにとっては村上頌樹と並んで投手陣の “二枚看板” です。移籍を認めたくない、というのが本音でしょう。とはいえ、過去に3投手がポスティングを利用していますし、藤川球児監督もMLB経験者。むげに断ることはできません。
ただ、今夏には “不動のリードオフマン” 近本光司が国内FA権を取得しています。つまり、今オフにFA権を行使されると、移籍も覚悟しなければいけないわけです。
もちろん、球団もそうなることを理解していたので、昨オフに複数年契約を提示しましたが、近本との契約交渉はうまくいきませんでした。
そのため、才木の移籍を認めてしまえば、最悪の場合、投手と野手の要を一気に失うことも十分考えられます。それだけは、なんとしても避けなければいけない。近本の移籍、残留によっても結果は違いますが、才木の問題もすんなりとはいかないでしょう」
今季の戦いぶりから “黄金時代” の到来を期待した虎ファンは多かったはずだが、一転して主力流出の危機を迎えるかもしれない。ポスティング申請手続き開始は、11月1日から12月15日までとなっている。