
地区優勝し、山本由伸と喜びを分かちあうロバーツ監督(写真:ZUMA Press/アフロ)
ドジャースは、9月30日(日本時間10月1日)から始まったレッズとのワイルドカードシリーズ(WCS)で連勝し、いち早くディビジョンシリーズ進出を決めた。
第1戦は大谷翔平の1試合2本塁打など打線が爆発して10対5、第2戦は山本由伸の好投もあり、8対4で勝利した。2試合とも打線が効果的に点を重ねたが、もうひとつ同じ展開になったことがある。それは、シーズンを通して何度も言われ続けた中継ぎ陣の不安定さだ。
第1戦は左腕エースのブレイク・スネルの好投もあって、7回を終えた時点で10対2。残りが2回ということを考えれば、点差8点で楽勝ムードさえ漂っていた。
ところがである。8回表のマウンドに上がったアレックス・ベシアは、打ち取るどころかストライクが入らない。あわてて代えたエドガルド・エンリケスも同様で、四球で塁を埋めて押し出し、タイムリーと最悪の結果を招いた。さらに、ジャック・ドライヤーも押し出しを記録し、点差は5点に。打たれて詰められたというより、四球で自滅と、印象的にもよくなかった。
第2戦は、山本の気迫あふれたピッチングが圧巻だった。初回はテオスカー・ヘルナンデス右翼手のエラーをきっかけに2点を失ったが、その後は、山本がレッズ打線を圧倒。2回から4回まで三者凡退に抑え、失点後、唯一のピンチとなった6回表ノーアウト満塁の場面でも内野ゴロ、三振、三振に打ち取った。1点すら与えず、流れがレッズに行くことを許さなかった。
しかし、8回表には前日と同じことが待っていた。デーブ・ロバーツ監督は頼りない中継ぎ陣対策のため、先発の一角、エメ・シーハンを投入した。
ところが、マウンド上のシーハンは、好投を見せ続けた先発時とは別人だった。トップバッターにヒットを許し、そこにエラーがからんでノーアウト二塁となると、あとは完全な独り相撲。四球、タイムリー、暴投、犠牲フライと、あっという間に2点を返されてしまった。
居ても立ってもいられず、ベンチを飛び出したロバーツ監督に、ドジャースタジアムにつめかけた5万人を超すファンは、一斉にブーイングを浴びせた。それは、前日、エンリケス交代のためベンチを出たときと同じ光景だった。
「ロバーツ監督は、中継ぎで誰を投げさせるか考えたとき、相手との相性を見るより、前回登板でよかったかよくなかったかを重視しているようです。
ベシアとエンリケスは、9月終盤のマリナーズ戦でともに3者連続三振に打ち取っています。そのときのイメージがあったのでしょう。ドジャースファンはすでにそのことに気づいていて、あまりにも無策だからこそ、ブーイングを浴びせているわけです。
しかも、自分が起用しているにもかかわらず、中継ぎ陣に対し『気迫が足りない』『調子が上がってこない』『私は自信を持って起用したのに』と、選手批判を繰り返していることもブーイングが起こる要因です。
現地では、ロバーツ監督の起用ミスで何試合も落としたというのが、共通の見方になっています」(現地記者)
それは、日本から声援を送るド軍ファンも同じのようだ。
《ロバーツ監督あなたブーイングの意味わかってるの?同じ采配をやりすぎです》
《ランナー出してから慌ててエンリケス投入して傷口広げる。ロバーツは学習しねぇな。》
《天然? ブーイングが自分に向けられているって気づかないとか》
現在のド軍最大のウイークポイントは、不安定な中継ぎ陣ではなく、指揮官の采配なのかもしれない。