
渋野日向子
1打、わずか1打届かなかった。
10月2日から始まったLPGAツアー「ロッテ選手権」(ハワイ州・ホアカレイCC)に出場していた渋野日向子は、2日めを2バーディー、1ボギー、1ダブルボギーとスコアを1つ落とした。これで2日間のトータルは通算イーブンパーの74位となり、62位までのカットラインに1打及ばなかった。
渋野としては、来季のシード権確保のため、なんとしても好成績を残さなければいけなかった。「ロッテ選手権」前のポイントランキングは102位。80位以内に入れば全戦参加のシード権が与えられ、100位までなら準シードが手に入る。そのためにも予選を通過して、最終的に上位に食い込む必要があった。
初日を終え、出入りの激しいプレーで1アンダー59位と、もう少しスコアを伸ばしたいところだった。それだけに2日めは勝負の日。渋野にとってはまさに “決戦の金曜日” だったに違いない。
1番スタートの前半は、我慢の連続だった。ショットはまずまずでバーディーチャンスを何度もつかむが、肝心のパットが決まらない。5番まで連続パーだったにもかかわらず、その表情は、すでに予選突破が絶望となったかのように暗い。
そして、こらえていた気持ちが切れてしまったのか、6番のセカンドでミスショットが出ると、頭を両腕で抱えながらフェアウエイを歩く始末。なかなか見る光景ではない。
結局、気持ちを立て直すことができなかったのか、6番でボギー、続く7番でダブルボギーと、実質ここで予選落ちが決まったも同然だった。
「2日めは、スタートから追いつめられている感じがありありで、悲壮感すら漂っていました。全英を制したときにいわれた “スマイルシンデレラ” の面影はまったくありませんでした。本人としてはこの大会に期するところがあったはず。シード権獲得はもちろんですが、悪い流れを払拭したかったのだと思います。
じつは、2週間前の『ウォルマートNWアーカンソー選手権』の初日は、ここ最近では最高のプレーで、トップと4打差の4アンダーで34位タイにつけていたんです。
ホールアウト後は久々の笑顔で、2日めに期待が持てました。ところが、その後は連日の豪雨のため、延期どころか中止に。運にも見放されてしまったのです。調子がよかっただけに、本人も無念の表情を浮かべていたことが忘れられません」(ゴルフライター)
渋野は「ロッテ選手権」の予選落ちで、ポイントランキングも102位からさらに落ちる見込みで、ポイントランキング上位者のみに出場権が与えられるアジアシリーズ4試合は不出場となる。
そのため、LPGAで残る試合は11月『アニカ driven by ゲインブリッジ at ペリカン』の1試合のみ。ただし、同大会は108人(推薦3枠)に絞られる試合で、今大会終了時点のポイントランクが優先して適用されるため、渋野の出場は確定していない。
いわば他力本願の状況に、渋野は「ロッテ選手権」の試合後、大粒の涙をぬぐいながら「自分の結果次第だったらよかったと思うけど、みんなの結果を待たなきゃいけない。それはふがいない。出られるといいけど……がんばります」と気丈に振る舞った。
渋野はこれから、いったん帰国し、10月10日から始まる『スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント』に出場する予定。はたして、逃げていった運を再び呼び戻すことができるか。