
影山雅永氏(写真・アフロ)
10月7日、日本サッカー協会(JFA)は緊急理事会を開き、影山雅永技術委員長の契約解除と技術委員長職の解任を発表した。
影山氏は、東京発パリ行きの機内で児童ポルノを閲覧。それを客室乗務員が発見して通報したため、逮捕された。チリでおこなわれている『U-20 W杯チリ大会』を視察するため、現地へ向かう途中だった。
6日(日本時間7日)、パリ郊外で開かれた裁判にて影山委員長は「画像はAIが生成したもので芸術品だ」と主張したが、警察の捜査では実在する人物の画像が含まれていたという。裁判所は、児童ポルノの輸入・所持などの罪で執行猶予のついた禁錮1年6カ月の有罪判決を言い渡した。
JFAは影山氏と連絡が取れなかったが、5日に事件の詳細を把握したとして、「大変遺憾なことだと考えておりますし、ご心配、お騒がせしていることについて深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
影山氏とはいかなる人物か。影山氏は福島県立磐城高から筑波大学に入学。蹴球部の同期には元日本代表の井原正巳や中山雅史がいる。卒業後は筑波大学大学院に進むが、当時の日本サッカーリーグ1部の古河電工から誘われ、休学して入社。Jリーグ創設後にはジェフ市原、浦和レッズなどでプレーしたが、大きな活躍を見せることができずに1996年に引退した。
「引退後は筑波大大学院に戻ると同時に日本代表スタッフとして1998年にフランスW杯のアジア予選、同本選において相手国のスカウティングを担当しました。その後ドイツ留学を経て指導者の道に進みます。2006年からはJFAスタッフとしてアジア各国に派遣され、マカオ代表監督に就任しました。その後、U-20日本代表監督2017年から2021年まで務めるなど、若年層の指導・育成では定評がありました。
しかし、技術委員長はJFAでも重要な役職だけに、ショックを受けた関係者は多いです。なにしろA代表を筆頭に男女各カテゴリーをつかさどる要職だからですよ。技術委員会の長であり、日本サッカーの強化、育成のみならず、代表監督の任命に対しても大きな権限を持ちますから。そもそも、この要職の一環としてチリで開かれているU-20W杯の視察に行くはずだったんです」(サッカーライター)
同大会でグループAのU-20日本代表は、3戦全勝、得点7、失点0の素晴らしい内容でトップ通過。ラウンド16ではグループEを3位で突破した強豪・フランスと10月8日(同9日)に戦う。
「大会前のU-20日本代表の前評判はそれほど高くなかったんですが、予選では全勝。しかも、内容が素晴らしく、いまでは優勝のダークホースと言われるまで評価が高まっています。ただ、影山氏の醜聞は当然、大会関係者に知られていますし、選手にも伝えられているはず。選手に何かしらの影響がでなければいいのですが……」(同前)
関係者は沈静化に奔走しているというが、日本サッカー界に大きな影を落としたことは間違いない──。