
MLBのナ・リーグ地区シリーズ(NLDS)に出場した大谷翔平(写真・アフロ)
MLBのナ・リーグ地区シリーズ(NLDS)で史上初の記録が生まれたのは、10月4日(日本時間5日)のことだった。
この日ドジャースの大谷翔平は、敵地でのフィリーズとのNLDS第1戦に史上初の「1番・投手兼DH」の“二刀流”で先発出場。6回を投げ切り、3安打3失点9奪三振の好投で勝利投手となったのだ。
100年以上の歴史を誇るMLBで、二刀流としてポストシーズンに出場した選手はいないため、大谷が投手兼DHで出場すれば、その投打の記録のほとんどが“史上初”ということになる。
「この試合、勝敗はもちろんのこと、大谷が史上初めて二刀流で先発出場することもあり、試合前から米メディアは『今日、歴史が作られようとしています』と大盛り上がりでした。打者としては4打数4三振1四球と結果が出ませんでしたが、投手としては見事なピッチングを披露。まさに歴史が作られた1日となりました」(現地記者)
2023年以来となる投手兼DHに復帰した今季、二刀流として出場した試合は14試合。好投しても、いまやド軍の有り難くない“お家芸”と言われる中継ぎ陣の崩壊で記録的には1勝1敗の成績しか残せなかったが、防御率2.87が示すとおり、何の不安も持たずにPSに臨めたのだろう。
歴史的快挙を日本人ファンのみならず、目の肥えた現地のファンも絶賛しているが、ここにきて、“大谷ルール”に異議を唱える声が出始めているという。
「“大谷ルール”とは、二刀流として登録された選手が先発した試合では、降板後もDHとして出場し続けられるものです。2022年のレギュラーシーズンから正式に適用されました。MLBは選手登録が26人ですが、ベンチ入り投手は13人までです。ところが大谷のように二刀流の選手がいれば、野手として登録すれば、実質投手は14人ということになるわけです。これはPSなど短期決戦では大きなアドバンテージになります。
しかし、実質大谷しか二刀流選手はおらず、だからこその“大谷ルール”なんですが、ド軍以外の29球団はこれに『反発している』と言われています。ド軍だけに有利なルールだと。じつは“大谷ルール”を利用するため、数球団では『二刀流の選手を育てよう』といった試みはあったようなんです。でも、大谷のようにハイパフォーマンスを続けることは無理だと判断したようですし、何よりも肉体的に困難だという結論に達したようです。そうした背景もあるので、大谷が今PSで二刀流として活躍すればするほど不満の声は膨らんでいくことが予想されます。こちらでは今オフ、『“大谷ルール”の撤廃を議論してはどうか』という声すら出ているんです」(同前)
大谷の出現で、アメリカでは「ボクもツーウェイプレーヤーを目指したい」という子供たちの声が多く出始めているのだが……。