
河本結(写真・共同通信)
JLPGAツアーの「スタンレーレディスホンダ」で河本結が初日から一度もトップを譲らない完全優勝を果たし、優勝賞金2160万円を獲得した。河本は8月の『北海道meijiカップ』に続き今季2勝め、通算4度めの優勝を飾った。
愛媛県松山市出身の河本は、中学高校生の頃から四国での大会を数多く制するなど、将来を期待されたプレーヤーだった。高校卒業後は有望選手らとともにプロの道を進むかと思いきや、2017年に自らの意思で日本体育大学進学を決める。ゴルフだけでなく、スポーツ科学や一般教養を学びたい思いからだった。
学業とゴルフという多忙な日々を送るなか、2018年にはプロ資格を取得。翌年には『アクサレディスゴルフトーナメントinMIYAZAKI』を制すなど、前途洋々のゴルファーとなった。
2020年には主戦場をアメリカに移したが、「環境になじめなかった」とわずか1年余りで撤退を決意。帰国後はしばらく成績不振が続いたが、2024年に1勝、そして2025年2勝と、いまや国内組をリードする立場となった。
「この数年、多くのトッププロが渡米し、国内ツアーの人気低迷が心配されていました。しかも国内組で不動の人気を誇る小祝さくらが手首の手術のためシーズン途中に離脱。ますます人気低迷が心配されましたが、それを救ったのが河本です。
彼女はプレーだけでなく、XやInstagramを使っての“アピール”がうまい。さらに、『ゴルフをやめたらすぐに歌手になればいい』と言われるほどずば抜けた歌唱力の持ち主なんです。また、白のビキニ姿をXに投稿して大きな話題にもなっています。今や、多くのギャラリーを引き付けてラウンドする女子プロとなっています」(ゴルフライター)
また、「うまいのはそれだけではない」とスポーツ紙のゴルフ担当記者は語る。
「彼女は囲み取材などの対応がよく、見出しになりそうなことを語ってくれるんです。今回の優勝後のインタビューもそうでした。彼女は小祝さくら、渋野日向子、原英莉花と同様、1998度年生まれの“黄金世代”のひとりですが、“黄金世代”が女子ゴルフ界を引っ張っていく意識はあるか、と問われると『めちゃめちゃあります。黄金世代、27歳なんで、こっから女の旬でしょと思っていきます』と盛り上がる回答をしてくれました。
また、今大会には渋野、岩井ツインズ、古江彩佳ら米ツアー組が大勢参加していたが、『(米ツアーから)帰ってきた身としてはJLPGAの意地を見せたい気持ちはありました。帰ってきて生半可な気持ちでやっていないよ…と自分に示すためにも、この勝ちはすごく大きかったです』と力強く語っています。そして米ツアー再挑戦に関しては『心の底にある感情に、それが出てこないといかないと思う。いまは日本のゴルフに貢献したい思いがある』とはっきりと自分の意思を話しています。米ツアーに参加している日本人には複雑な気持ちがあるようですが、日本でやると決めたことが自身の復活につながったことは間違いないでしょう」
また、「河本の存在は、不振を極める渋野の復活にも大きな影響を及ぼす」と続ける。
「米ツアーで予選落ち続きの渋野は、気分転換の意味でも今大会に出場しました。ですが、今回も予選落ちと事態は深刻です。それだけに来季は帰国し、国内ツアーに専念するのも復活へ第一歩だと思います。しかも、身近に河本という米ツアーの不振から脱出した最高の“お手本”がいるわけですから」(同前)
今の渋野にとって必要なものは、一度リセットする勇気かもしれない。