
前田健太(写真:AP/アフロ)
巨人の2025年シーズンが早くも終わった。10月12日におこなわれたDeNAとのCSファーストステージ(横浜)第2戦に延長戦の末、6-7と敗れたからだ。
昨年オフ、巨人は久々に大型補強をおこなった。まず同一リーグの中日からライデル・マルティネスを、続けて、ソフトバンクの正捕手にしてWBC戦士の甲斐拓也をFA移籍で獲得した。さらに、楽天で未勝利だった田中将大までチームに招き入れ、3人に使ったお金は合計70億円近いものとなった。
それもこれも、昨季はセ・リーグを制しながら日本シリーズに出ることも許されなかった雪辱を果たすためだった。
しかし、シーズンを通して活躍したのは、巨人でも守護神として活躍したマルティネスただ1人。
甲斐はシーズン序盤こそ、その経験と巧みなリードで若い投手陣を引っ張ったが、8月23日のDeNA戦での本塁クロスプレーで、右手がヘッドスライディングした走者に巻き込まれる形となって負傷。診断の結果は「右中指中手骨頭骨折」の重傷で、以後シーズン中に復帰することはできなかった。
田中は、あと3勝に迫っていた200勝を最終登板で達成したが、シーズンを通して1軍と2軍を何度も行き来し、戦力になったとは言いがたい。来年以降は契約更新も含め、不透明な部分が多い。
「結果的には惨敗でしたが、巨人にとっての2026年シーズンはすでに始まっています。チームの底上げは急務ですが、短期間に選手の育成は難しいので、来季もFA移籍を含めた補強をおこなっていくでしょう」(巨人担当記者)
では、巨人の補強ポイントは?
「ここに来てチームの4番である岡本和真のMLBへのポスティング移籍が取りざたされていますが、まずは先発投手です。
エース戸郷翔征はシーズンを通して不振にあえぎ、8勝9敗と負け越し。昨年8勝して飛躍が期待された井上温大も4勝8敗。シーズン終盤にはグリフィン、赤星優志らローテーション投手の離脱も相次ぎ、結局二桁勝利をあげた投手は11勝4敗の山崎伊織ただ1人でした。
先発投手のコマ不足は明らかで、すでの中日から国内FA権を取得した柳裕也をリストアップしているようです」(同)
ただ、巨人として補強が柳1人では足りないようで、「巨人、前田健太を調査」という驚きの一報が入ってきた。
「前田はドジャースをはじめ、ツインズ、タイガースで計68勝をあげるなど、メジャーでも実績のある投手。若い投手が多い巨人にとって、まとめ役としても最適と見られていました。
ただ、チームには前田と同じMLB帰りの田中将大がいて、2人とも全盛期から比べると力の衰えは明らか。同じような境遇の投手を2人もチームに迎え入れるのは無理があると、前田が日本球界にラブコールを送った当初は獲得に消極的でした。
しかし、補強ポイントの最優先は投手ですが、今オフはFA権を取得した投手が小粒であることから、そうも言ってられなくなったんです。だから、前田の調査を始めたということでしょう。
前田は、2021年に右肘のトミー・ジョン手術を受けて以来、フォーシームの球速と威力が落ちたと言われていました。5月にタイガースを解雇されて3Aのチームを転々としましたが、そこでフォーシームの威力が復活し始めたのです。
実際、ヤンキース傘下3Aスクラントンメンバーとして迎えた最終登板では、ブルージェイズ傘下3Aバファロー相手に5回無失点、三振も5つ奪いました。フォーシームも最速151kmまで復活。3A相手とはいえ、手ごたえをつかんだようでした」(スポーツライター)
もし前田獲得となれば、巨人では1988年度生まれの、いわゆる “ハンカチ世代” が田中将大、坂本勇人とで揃うことになる。巨人ファンにとってはうれしい限りだが、アンチにとっては「昔の名前で出ています」とツッコミどころ満載だろう。