
“懲罰交代”で批判が集まっている巨人・阿部監督
2012年以来の日本一奪回を目指した今季の巨人。だが、ペナントレースでは首位・阪神に15ゲームの大差をつけられ3位。クライマックスシリーズ(CS)でもファーストステージで2位横浜DeNAに連敗して終戦。またしても悲願達成には至らなかった。
その巨人が来季に向けて、いち早く動き出した。
10月14日、二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチと駒田徳広3軍監督が今季限りで退任することを発表したのだ。この“優秀な参謀”が抜けるのは、巨人にとっては“危険な兆候”だと見る向きもある。
「二岡は、現役時代その甘いマスクから“ニ~イ”の愛称で女性から絶大な人気を誇っていました。指導者になった後も、しっかりとした理論を持っていて、作戦面でも指導面でも定評がありました。また、阿部監督にも自分の考えをしっかりと伝えられる、数少ないコーチの一人でした。駒田3軍監督も同様です。
この2人がいなくなるということは来季、阿部監督の周りには“イエスマン”しかいなくなることを意味します。これは、“原第3次政権”の後半、2021年から2023年と同じです。このときの巨人は原監督の“独裁政権”と揶揄され、選手は委縮して『ベンチを見ながらプレーしている』と言われたほどでした。このままだと、来季も当時と同じような状況が予想されますから、日本一奪回どころか、さらに成績が落ちてしまうかもしれません」(スポーツ紙デスク)
2023年10月に巨人と3年契約を結んだ阿部監督は、2026年まで契約期間が残っている。ただ、今季終了後に阿部監督の退任も囁かれていたという。
「オフに中日から守護神マルティネス、ソフトバンクからFAで甲斐拓也捕手を獲得。さらにエンゼルス時代に大谷翔平のチームメイトだったキャベッジ、楽天から田中将大まで補強していました。その総額は50億円を軽く超えると見られ、セ・リーグ連覇と日本一奪回は至上命令でした。その目標が達成できずに終わったことから、リーグ3位でも、契約があと1年残っていても、阿部監督は退任に追い込まれるのでは、と言われていたのです」(巨人担当記者)
その流れが変わったのは「つい最近のことでは」と続ける。
「巨人は二度ほど契約期間の途中に監督を変えたことがありました。1980年オフの長嶋茂雄氏と2003年オフの原辰徳監督のときでした。この2つのケースでファンの反感は相当なものでした。もしAクラスのときに阿部監督を退任に追い込めば、そのときの再現になってしまうことも恐れたのでしょう。でも、大型補強しながらの優勝失敗は誰かが責任を取らなければいけない。それが二岡ヘッドであり、駒田3軍監督だったのでしょう。犠牲になったともいえますね」(同前)
2012年以来、日本一には届いてはいないが、この2~3年における戦力アップは“お得意”のFA補強に頼るのではなく、育成に力を入れてきた。その結果、徐々にではあるが新しい選手たちが一軍でプレーする機会を増やしてきた。しかし、2024年にセ・リーグを制しながら日本シリーズ進出を阻まれた結果、また補強は移籍に頼るチーム方針に逆戻りしている。今オフもFAで中日の柳裕也投手、MLBから前田健太投手の獲得に動くと連日報じられている。
現時点では来季の組閣、補強は不明だが、「危うい方向に向かっている」という声は多い。