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貴乃花親方が心酔した「至学館女学長」27年前のご高説
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2018.03.30 11:00 最終更新日:2018.03.30 11:02
大勢の力士が熱弁を振るう女性に耳を傾けている。“先生”として講義をしているのは、いま女子レスリングのパワハラ騒動で話題となっている至学館大学の谷岡郁子学長(63)である。
そして、熱心に耳を傾けるのは、これまた弟子の暴行騒動で話題の貴乃花親方(45)。当時はまだ四股名が「貴花田」。そして、この直後の名古屋場所では新三役で二桁勝利を飾り、翌年には初優勝を果たす。
時はいまから27年遡る、1991年のこと。まだ至学館大学が中京女子大学の名称で、貴乃花部屋も当時は先代・貴ノ花率いる藤島部屋だったころ、この講習会は開かれた。
じつは郁子氏と先代との交流は古く、先代が内弟子12人を連れて独立した1982年からだ。ノンフィクションライターの武田賴政氏が、当時の関係を語る。
「郁子氏の父・太郎氏(前大阪商業大学学長)が藤島部屋の大阪の後援会長をしていたんです。その関係で、郁子氏も藤島部屋と親しくなっていった。とくに夫人の藤田憲子(現・紀子)さんと仲がよく、大阪場所のときは連れだって、よく買い物などに出かけていました」
そういった背景で実施された講習会。
「郁子氏は相撲の基本である何度も繰り返す激しいぶつかり稽古や食後の昼寝の習慣などの伝統と科学的トレーニングとの融合を掲げ、古い体質からの脱却を訴えていた」(当時の取材記者)
そのなかのひとつに飲酒の例がある。相撲界では、「日本酒で太って体を作り、飲めば飲むほど肌がツヤツヤになる」といった定説があるが、郁子氏はこれを「タニマチが力士を連れ回したいだけで、疲れた体に飲酒は逆効果」と否定。そのため、当時の藤島部屋ではタニマチによる連れ回しは厳禁。
「これは現在の貴乃花部屋でも受け継がれている。それは、部屋創設時の『サポーター制度』導入にも繫がり、貴乃花親方はタニマチを排除するという “タブー” に挑んだ。
かつて、郁子氏が先代にしばしば進言していたのは、悪しき伝統を改める改革。これには若き日の貴乃花親方も賛同していた。それは彼が親方になった途端、さまざまな改革案を取り入れようとした事実からもわかる」(相撲専門誌記者)
至学館大学に郁子氏と貴乃花親方との関係を訊ねたところ、「家族ぐるみの交流があったことは事実です。親方(先代)の依頼で力士に科学的なトレーニングを学ばせたいというお話がありましたので、スポーツ生理学、トレーニング科学、スポーツ栄養学、スポーツ心理学などの講習をおこなったことはあります」といった回答だった。
郁子氏との関係は、「先代の親方が他界されて以降、いっさいありません」(至学館大学の回答)となった。古い体質からの脱却を訴えていた郁子氏だが、「悪しき伝統」の象徴ともいえるパワハラが身内で勃発するとは思いもよらなかっただろう。
(週刊FLASH 2018年4月10日号)