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ニックネームは「怒れるねこ」小平奈緒と「怒り猫」の共通項
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2018.03.31 16:00 最終更新日:2018.03.31 16:54
「私も実際に、金メダルを獲った瞬間をテレビで見ていました。小平選手が『怒れるねこ』と呼ばれているのは、何かで読んで知っていましたが、たしかに、怒ったときのねこの様子に似ているな、と思いました。よくぞ、こんな呼び方を思いついたもんだ、と感心しましたねえ」
そう語るのは、動物学者で「ねこの博物館」館長を務める、今泉忠明先生。平昌五輪のスピードスケート女子500メートルで金メダルを獲得した小平奈緒選手(31)は、オランダ語で「怒れるねこ」という意味の「BOZE KAT」というニックネームを持つ。
かつて、オランダ人コーチのマリアンヌ・ティメル氏が、彼女のフォームを矯正しようとしたが、いかんせん、オランダ語が通じないため、具体的なポーズの指示が伝わらない。そこで「怒ったねこ(のポーズ)になりなさい」とアドバイスしたのが、このニックネームが誕生したきっかけだ。
前傾姿勢になり、いまにも飛びかからんばかりのフォームを体得した彼女は、オリンピックレコードで五輪の舞台を制した。今泉先生に、小平選手と本物の「怒れるねこ」との共通点について聞いた。
「まずスタート前、鋭い目つきでにらみつけるところ。彼女は目がすごく大きいから、ねこと同じ目の力を感じます。そして、体を小さくして丸くなるところ。ねこならいつでも相手に飛びかかれるよう、準備をしている段階です。
それから、レース中の彼女はフードをかぶっていますよね。ねこも、怒っているときは耳を後ろ側に折りたたむので、頭が丸く見えます。そこもそっくりなんです。小平選手と怒ったねこが違うのは、小平選手には牙がないことくらいでしょうか(笑)」
ここで “怒れる猫の心得” を見ていこう。
【心得1】決戦の前にはフィールドに視線集中!
戦闘モードに入ったときの、ねこの目ヂカラはすさまじい。相手をにらみつけ、ちょっとした動きさえ見逃さないという緊張感が漂う。レース前の小平選手からもそんなオーラが!
【心得2】相手が強大でもけっしてひるまず!
バンクーバー&ソチ五輪の金メダリスト、李相花選手(韓国)をはじめ強力なライバルが顔を揃えた今回のレース。しかしひるんではいられない。獣のような姿勢でスタートを待つ!
【心得3】もっとも重要なのは瞬発力だ!
スタートとともに、それまで丸く、小さく収縮させていた四股を一気に伸ばす。それはまるで、ねこが自分の体より高く、長くジャンプするときの瞬発力と同じ。まさに「BOZE KAT」だ。
【心得4】勝負が終われば熱い友情が……!
圧倒的なパワーを見せつけ、金メダルを獲得。勝負が終われば、さっきまでにらみ合っていたライバルも戦友だ。銀メダルとなった李選手と、お互いの健闘をたたえ合う。美しい光景だ。
【心得5】感情表現は全力で!
最後は表彰台から跳び上がって、喜びを全力で表現。いっそ本物のねこだったら、背中をゴロゴロさせて喜ぶこともできたろうが……。さすがにそこまで、完全なねこではなかった。
ちなみに今泉先生によれば、怒れるねことはけっして、目を合わせてはいけないとのこと。
「愛情を注いだ我が家のねこになら、目を合わせることは相思相愛の感情表現ともいえますが、怒っているねこと目を合わせるのはNG行為。引っかかれ、噛みつかれますよ」
テレビを通じて、全世界とアイコンタクトを取った小平選手。獲って当然の金メダルだった!?
(週刊FLASH 2018年3月13日号)