
ハッフルパフのローブをまとい、紅葉が進むケンジントン・ガーデンズでポーズを取る若元春(写真・高橋マナミ)
「小学生のころに『ハリー・ポッターと賢者の石』を読んで好きになり、その後、映画版にもハマりました。グッズは通販とかで集めていますが、『ハリポタ』の本場で見たり買ったりしたいですね」
10月15日から5日間にわたり、音楽の殿堂して世界に名をはせるロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催された「大相撲ロンドン公演」。力士たちは精力的に観光にも繰り出し、行く先々で写真やサインを求められるなど大人気に。彼らは日本の親善大使として、ロンドンに大きなインパクトを残した。
そんな力士たちのなかでも、冒頭の発言のように。とくにロンドン行きを楽しみにしていたのが、ハリー・ポッター好きで知られる若元春だ。今回、そんな若元春の“ロンドンの休日”に密着取材をおこなった――。
観光初日は、ホグワーツ特急が発着する「9と3/4番線」の撮影スポットとギフトショップがあるキングス・クロス駅に向かうことに。おともするのは阿炎(あび)、隆の勝、大栄翔の3人。4人の力士はロンドン名物のブラックキャブに乗り込んだ。現地に着くと、撮影スポットにはすでに長蛇の列。錦木が、師匠の伊勢ノ海親方らと並ぶ姿もある。周囲の観光客からは「一緒にフォト・プリーズ」の声が、次々と力士にかかる。
「並ぶのはあきらめ、買い物に行きますか」と、若元春は隣接するショップへ向かう。混み合う店内で、ホグワーツ魔法魔術学校のローブを見つけ、隆の勝のヘルプでXXLサイズを試着すると、サイズもピッタリ。「着物の上からでもいけますね。髷(まげ)があるからフードはかぶれないけど……」と、さっそくテンションは爆上がりである。
買い物後は「そろそろ肉かな」ということで、4人は有名ステーキハウス「ホークスモア」へ。肉とロブスターなどを堪能後、レストラン近くに映画小道具のレプリカをそろえた「ノーブル・コレクション」があると知った若元春。「もう1軒、すみません!」と3人に懇願し、4人は雪駄の音を響かせながらショップに向かった。
「『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビットの冒険』も好きなんですよ。うわー、テンション上がる。『ハリポタ』の杖はもう50本ぐらい持ってるんです」と、若元春は目を輝かせて杖を品定めし、この店の2025年限定の杖を購入することに。
さらに「アラスター・ムーディの杖がある!」と盛り上がったが、こちらは長さが160cm近くあり、お持ち帰りは断念。代わりに『ゲーゲー・トローチ』のフィギュアを発見して、買い物かごへと入れた。
その後も『ロード・オブ・ザ・リング』に登場するギムリの斧や、『ホビットの冒険』のトーリン・オーケンシールドの名剣オルクリストも手に取ってポーズを決めたりと、子どものようなはしゃぎぶりであった。
『ハリポタ』三昧の後は、辛抱強く待っていたほかの力士に促され、大英博物館へ。巨大なコレクションを誇る大英博物館だが、大栄翔の希望で、まずはロゼッタストーンを鑑賞。アッシリア時代の石像やモアイ像の前で写真を撮り合うなど、観光も初日前半から“てんこ盛り”である。
翌日は床山さん2人も加わり、ビートルズゆかりのスタジオがあるアビイ・ロードへ。ビートルズのメンバーが横断歩道を渡る様子を再現して撮影したりと、こちらは英国各紙でも報道され、SNSでも大バズりとなった。
肝心のロンドン公演のほうも世界各地から相撲ファンが集結し、連日満員御礼の大盛況。BBCのオンライン配信もあり、予想以上に多くの人が大相撲を楽しんだ。
千秋楽には『ハリポタ』のハーマイオニー・グレンジャー役のエマ・ワトソンが観戦に来るとの情報を知ると、「エマに会いてぇ!」を連発していた若元春。対面はかなわなかったが、相撲にも気合が入ったのか、豪ノ山を破るなど4勝1敗の好成績を残した。
その翌日は朝から「ハリー・ポッター・スタジオツアー」、夜はミュージカル『レ・ミゼラブル』の観劇もこなし、充実のロンドン訪問となった。
鬢付け油の香りを漂わせ、着物と髷の粋な姿でロンドンに大相撲旋風を巻き起こした力士たち。『ハリポタ』愛に満たされた若元春が、九州場所では“魔法の杖”で悲願の幕内初Vをかなえられるか!?
取材&文・山下めぐみ 写真・高橋マナミ
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