山下美夢有
11月16日(日本時間17日)、山下美夢有が、LPGAツアーで1試合を残すなか、『ルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)』の受賞を決めた。日本勢では、小林浩美(1990年)、西郷真央(2024年)に続く3人めの快挙となった。
歴代の新人賞受賞者には、メジャー10勝のアニカ・ソレンスタムをはじめ、韓国ゴルフ界の先駆者である朴・セリ、LPGAツアー通算48勝のナンシー・ロペスなど、錚々たるメンバーが名を連ねている。言い換えれば、スーパースターへの “登竜門” でもある賞を、山下が受賞したことになる。
翌日には、米フロリダ州にあるホテル「ザ・リッツ・カールトン」で『ロレックスLPGAアワード』が開催された。表彰のため会場にあらわれた山下は、全身プラダの黒ドレスに身を包み、大きな拍手をもって迎えられた。山下はマイクを口元に近づけ、
「この賞を受賞できてとても光栄です。本日、この場に立たせていただき、とてもうれしいです。そして、これまでこの賞を受賞された数多くの素晴らしい選手とともに、私の名前が連ねられることに感謝します。これからも努力を重ね、より多くのトーナメントで優勝できるように頑張ります」
と、すべて英語でスピーチをこなした。
「山下さんは丸暗記してスピーチに臨んでいました。2度ほどカンペをのぞき込みましたが、それも式典に参加した人たちに一生懸命さが十分伝わり、終了とともに大きな拍手に包まれました。
試合ではつねに表情を変えない彼女ですが、今回は相当緊張していたようです。すべてが終わったあとに『頭、真っ白でした…』と素直な気持ちを吐露していました(笑)」(ゴルフライター)
2025年シーズンは日本人選手の “当たり年” だったと言われている。竹田麗央に始まり、西郷真央、岩井千怜、山下、岩井明愛、畑岡奈紗が優勝を経験したものの、2度優勝したのは山下だけだ(うちメジャー1勝)。
「身長150cmの山下は小柄で、ほかの選手と比べて飛距離は出にくい。飛ばし屋が揃うLPGAツアーでは、第1打で何十ヤードも置いていかれることが当たり前でした。
過去の日本人選手のなかには、その現実にショックを受け、飛距離を出すためにスイング改造に着手した選手が何人もいた。ところが、これが失敗に終わり、飛距離が伸びないばかりか、スイングのリズムさえ崩してしまう選手もいたほどです。
そんななか、山下は飛距離を追いかけませんでした。飛距離には目をつぶり、自分の長所である正確性に磨きをかけた。今季のドライビングディスタンスでは245.940ヤードとLPGAでは141位ですが、フェアウェイキープ率は82.10%で3位を記録しています。その結果が新人賞であり、アメリカでは “精密機械” や “小さな巨人” と賞賛を込めて呼ばれています」(同)
今シーズンも残すは、CMEポイントランキング上位60人だけが出場できる『CMEグループ・ツアー選手権』1試合となった。
じつは、山下は『プレーヤー・オブ・ザ・イヤー』(年間最優秀選手賞)でも2位につけている。最終戦に優勝すれば、1位のジーノ・ティティクルを逆転し、日本勢では1987年の岡本綾子以来、2人めの戴冠となる。新人賞との2冠では、1978年ナンシー・ロペス、2017年の朴城炫(パク・ソンヒョン)の2人だけだ。
LPGAツアー最高額となる優勝賞金400万ドル(約6億2000万円)とともに、最高の名誉を獲得するために “精密機械” が挑む。
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