
丸山希(写真・アフロ)
「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」開幕まで2カ月となった今、各種目で日本人選手が調子を上げてきている──。
スキー女子ジャンプもその1つ。素晴らしいスタートを切った選手がいる。北野建設所属の丸山希選手だ。これまでノルディックスキーのワールドカップ(W杯)では未勝利だった丸山だが、今季開幕戦で初優勝を遂げると、そこから怒涛の3連勝。第4戦は2位、第5戦は3位、第6戦は4位と、すべての試合で上位の成績をキープ。
「彼女の長所は助走してから踏切、そして飛行への動きが素晴らしくスムーズなことです。ヨーロッパでは、その美しい流れについて“精密機械”と呼ばれているほどなんです。なので、今季の好調についても報道関係者の間では驚きではなく、『ついに覚醒したか』といった意見のほうが多いんです。
丸山は明治大学政治経済学部卒の才女であり、文武両道を貫いてきました。若いころから期待されていましたが、なかなか結果が伴わなかった。しかし、今季になって一気に才能が開花。“遅咲き”のヒロインと言えるでしょう」(スポーツライター)
その好調の要因となっているのは、11月21日(日本時間22日)にリレハンメルでおこなわれた混合団体戦のジャンプだという。
「日本は先陣を切った丸山がK点越えの128mの大ジャンプでトップに立った。これが、続く二階堂蓮、伊藤有希、小林陵侑のリラックスにつながり、いいジャンプを揃えて1本めをトップで終えることができました。その後、細かなミスもあって差を詰められる場面もありましたが、試合が終わってみれば、丸山のジャンプから一度も首位を明け渡すことなく、完全優勝を果たしました。混合団体の制覇は2013~14年シーズン以来、12年ぶりのこと。この快挙をもたらしたのが、丸山の1本めのジャンプだったことは間違いありません。
この試合以降、丸山は好調を維持しており、本人も『個人戦前の混合団体でいいジャンプが飛べたことが、個人戦の好結果につながっています』と語っているほどです」(同前)
今回のメンバーには、長年日本の女子スキージャンプを牽引してきた高梨沙羅の名前がない。
「高梨は女子W杯が開催された2011~12年シーズンから毎年表彰台に上がり、W杯歴代最多優勝数を63まで更新しました。ただ、昨年は最高でも4位と、表彰台ゼロのシーズンとなってしまいました。とはいえ、実力者であることには間違いなく、彼女がメンバー入りしているだけで他国にはプレッシャーになっていたのです。言い換えれば、高梨がいない状態でも優勝できたことは、日本チームの底上げが成功しているということなんです。
オリンピックで、日本は女子スキージャンプの金メダルをいまだに獲得したことがありません。ただ、高梨なしで混合団体を勝ち切ったこと、そして、丸山という“新エース”の台頭は、金メダル獲得に向けて大きな前進に違いないです」(スポーツ紙デスク)
ミラノ・コルティナ五輪で女子のスキージャンプは、これまでのノーマルヒル個人、混合団体ジャンプに加え、ラージヒル個人が新たな種目として加わる。初の金メダルどころか、複数の金メダル獲得も決して夢ではない。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







