2025年8月15日の巨人対阪神戦(写真・共同通信)
昔話なのだが、入社間もなくして巨人担当となったある記者は、疑問を持っていたというのだ。その記者曰く、「リーグ優勝も日本一の回数も巨人が圧倒しているのに伝統と呼べるのか?」ということだった。
「1934年に日本最古の球団である大日本東京野球倶楽部が誕生し、これこそが現在の巨人の前身なのです。翌年には、大阪野球倶楽部が関西のプロ球団として発足。この大阪倶楽部が現在の阪神タイガースとなりました。その後、両チームはたびたびチーム名を変えながらも対戦し続けて現在に至ります。つまり、巨人と阪神には90年の戦いの歴史が存在する。だからこそ“伝統の一戦”と呼ばれているんです」(スポーツ紙デスク)
同記者もいまや中堅となった今、「通算の優勝回数はともかく、ここ数年は戦績も観客動員数も阪神が巨人を上回っている」と苦笑いする。
確かにコロナ禍以降の2022年から2025年に限ってみれば、観客動員数はすべて阪神が上回っている。しかも、阪神は2023年から3年連続で、1試合の平均動員数が4万人を超えている。
戦績に関して、コロナ禍以降、阪神は2023年と2025年に2度のセ・リーグ制覇を遂げたが、巨人は2024年の1回のみ。日本一に関しては、巨人は2012年まで遡らなければいけないほど、日本一から遠ざかっているのだ。ちなみに、阪神は2023年に日本一となった。
成績が良ければ選手たちの年俸が上がるのは必然である。2025年シーズン開幕前の選手総年俸(推定)は、ソフトバンクが約78億7000万円で断トツ。これに続くのが巨人の約50億6000万円で、3位が横浜DeNAの約44億2000万円。阪神は約42億9000万円の4位だった。
だが、今季は阪神がセ・リーグを制し、巨人が3位だったこともあり、やはり契約更改後の会見では、どうしても阪神のほうから景気のいい話が多く出てくる。12月5日には、いまだ開花できていない選手たちにとって“希望の灯”ともいえる契約更改のニュースが入ってきた。
「阪神の大竹耕太郎投手が9000万円から4000万円アップの1億3000万円でサインしたといいます。大竹投手は2017年にソフトバンクから育成ドラフト4位で指名され、翌年に入団。7月には支配下登録を勝ち取りました。ですが、ブレイクすることはできずに2023年に現役ドラフトで阪神に移籍。すると、その才能があっという間に開花したんです。3年間で12勝、11勝、9勝を挙げて阪神のローテーションを堅実に守ると、今オフ、阪神では11人めとなる1億円プレーヤーに名乗りを挙げました。
しかも、阪神では未更改組で大幅アップが見込める選手が目白押し。セ・リーグMVPの佐藤輝明外野手、森下翔太外野手、右のエース・村上頌樹投手、才木浩人投手、50試合無失点という日本新記録を樹立した石井大智投手など6名が控えています」(同前)
その一方、巨人の1億円プレーヤーも現在11名となっているが、今後仲間入りは、よくて1人と予想されている。
「田中将大投手が6000万円、丸佳浩外野手は1億2000万円、坂本勇人内野手は2億円とそれぞれ減額が報じられ、話題になっています。しかも、3人とも来季の契約が危ぶまれるなど、景気のいい話はほとんど聞こえてきません。
阪神と巨人の1億円プレイヤーが現在同数の“横並び”で、今後は阪神の方が増える見込みのため、まさに阪神の下剋上でしょうか。成績、観客動員数だけでなく、年俸まで巨人を上回ることとなります。今後、『阪神が圧倒しているのに伝統と呼べるのか』と議論が巻き起こる日が来るかもしれません」(前出・巨人担当記者)
セ・リーグにおける盟主交代は、現実味を帯びてきたのかも──。
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