
ドジャースへ移籍することとなったエドウィン・ディアス(写真・AP/アフロ)
球団史上初となるワールドシリーズ(WS)3連覇を目指すロサンゼルス・ドジャースに、2025年オフ最大の朗報が届けられたのは、12月9日(日本時間10日)のことだった。
ニューヨーク・メッツからフリーエージェント(FA)となっていたエドウィン・ディアスを獲得したというのだ。契約は「3年総額6900万ドル(約108億円)」で、1年平均の年俸「2300万ドル(約36億円)」と、昨今の契約ではやや抑え気味だが、リリーフとしては史上最高額だという。
ド軍にとって補強のポイントは、不安定だった中継ぎ、抑えのブルペン陣のテコ入れだったことは言うまでもない。
当初、抑えはタナー・スコットとエバン・フィリップスと、左右の剛腕を起用するつもりだったという。ところがフィリップスは右肘のトミー・ジョン手術のため、シーズン早々に離脱。さらにスコットは前半戦こそよかったが、勝負どころの後半戦では出れば打たれるの連続で、WSでの起用はなかった。
そうしたチーム事情からブルペン陣の柱、とくに抑えの獲得は急務だった。そうしたなかでのディアス獲得は、これ以上ないほどの補強になることは間違いない。
ディアスはシアトル・マリナーズ時代の2018年、57セーブを挙げ、自身初となる最多セーブ王に輝いた。2019年、トレードでメッツに移籍してからもコンスタントにセーブを挙げ、ここ4年は連続で20セーブ以上を記録。2025年も62試合に登板して、6勝3敗28セーブ、防御率1.63を挙げた。
スリークォーターから投げ込まれるフォーシームは最速で165km/hを超え、平均でも156km/hを計測。さらに縦に鋭く落ちるスライダーもあり、毎年、投球回数より奪三振のほうが多いことも大きな魅力となっている。
「ド軍が今オフにもっともほしかった選手であることは間違いありません。課題だった9回の投手が決まり、スコットもサンディエゴ・パドレス時代のように、セットアッパーのポジションに戻ることができる。リラックスして投げられるため、本来の力を発揮するでしょう。ド軍にとっては“ラストピース”が埋まったと同時に、3連覇に死角なし、といったところでしょう。
また、大谷翔平にとっても間違いなくうれしい知らせです。対戦成績で大谷は苦手にしていましたからね。ディアスの息子2人は、どうやら大谷のファンのようで、2025年のオールスターでは3人で一緒に写真を撮り、ディアスの夫人がInstagramに写真を投稿していました。『いま思えば、チームメイトになる前触れだったのか』と、こちらでは言われています」(現地記者)
ド軍ファンにとっては大きな喜びだが、アンチにとっては最悪の知らせだったことは間違いないようだ。
「毎年のようにスーパースターをチームに引き入れるために、ド軍には『やりすぎだ』『金満球団へ加速中』といった不満の声が多いことは事実です。一方で、メッツファンからは『なぜ引き留められなかった』『ド軍よりも資金力はあるはずなのに』といった声が聞かれています」(同前)
こうなると、ディアスへの個人攻撃も心配されるところだが、彼はなかなかに“痛い”経験をしているので大丈夫かもしれない。
大谷がMVPとなった第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に、ディアスはプエルトリコ代表として参加。迎えたドミニカ戦では、9回から登板して3者連続三振の快投を見せた。会心の投球に加え、強敵・ドミニカを破ったことに興奮したディアスは、歓喜の輪のなかでジャンプを連続。すると、転倒して起き上がることができなくなり、車いすで退場することになった。その様子を見つめる同代表でチームメイトの弟・アレクシスが涙したことから、重傷を思わせたが、翌日に発表された診断の結果は、右膝の膝蓋腱(しつがいけん)の全断裂で全治8カ月。当然、2023年シーズンは全休となった。
ド軍では、くれぐれも喜び過ぎに注意したいところだ。
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