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大阪桐蔭・西谷監督の本業は「指導よりスカウト」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2018.04.12 11:00 最終更新日:2018.04.12 11:52
「西谷浩一監督ほどマメな人はいない。獲得したい中学生を『ドラフト1位』と呼んで熱心に勧誘する。かつて、中田翔(日ハム)を入学させるのに、広島まで50回も通って口説いたのは有名な話です」(高校野球関係者)
史上3校めの春連覇を達成した大阪桐蔭。その強さは、全国から選りすぐった選手の活躍なくして語れない。
優勝の立役者、スーパー二刀流の根尾昂選手は岐阜出身。エースナンバーをつける柿木蓮投手は佐賀出身。ベンチ入りメンバー18人中、大阪出身は5名にとどまる。大阪以外の近畿出身は7名。そのほか北海道、愛知、徳島、愛媛と全国各地から。
高校野球関係者から皮肉をこめて、「日本一」と称される西谷監督のスカウト活動の賜物といえよう。関西地区の高校野球関係者がスカウトの実態を明かす。
「建前上、学校側から認められているスカウト活動は毎週土曜の午前中。西谷監督が受け持つ社会の授業がないからだが、実際に費やす時間はもっと多い。気に入った選手を見つけたら、何度も通うのが西谷流。中学生にしてみれば『あの有名な監督が、わざわざ自分に会いに来 てくれた』と感激するわけです」
大阪の元高校野球監督が、西谷監督と会った当時を述懐する。
「かねてより、練習を見るよりもスカウト活動のほうが熱心で、練習を休む日も少なくなかった。『コーチまかせにしないで、もうちょっと練習に参加せえよ』と、たしなめたほどです」
実際に、根尾の獲得をめぐっては、ライバル校とスカウト合戦を繰り広げた。
「根尾選手は慶應高校に進学するといわれていた。ところが、そこから猛烈な巻き返しをおこなったわけです。『根尾の試合には必ず西谷監督が視察に来てる』と、東海地区のボーイズリーグ関係者の間で評判になった。
根尾選手の実家がある岐阜県内のホテルに連泊して、実家へ通い続けたという話もあった。本人と両親に、『一度、うちの練習を見学してほしい』と直談判し、それが決め手となったようです」(前出・元高校野球監督)
「本業は指導よりスカウト」と揶揄されることを意識してか、最近は代役にコーチを立てることもあるという。だが、最終的な判断は、西谷監督がおこなうことに変わりはない。同校を取材するノンフィクションライターの柳川悠二氏は、西谷監督のスカウト力を絶賛する。
「高校入学後、投手にするか野手に専念させるか、西谷監督が現地まで赴き、直接見て判断する。中学野球の日本代表の投手でも、野手のほうが可能性が広がると判断すれば、野手として勧誘する。選手の適正を見抜くことに長けた監督です。少数精鋭の大阪桐蔭は、いまや全国の中学球児にとって憧れの的となっている」
いま、監督と選手の合言葉は、今夏の100回記念大会に出場して「史上初の2度めの春夏連覇」だという。
(週刊FLASH 2018年4月24日号)