北中米W杯への初出場が決まったキュラソーのサッカーファンたち(写真・ロイター/アフロ)
2026年に開催されるFIFA北中米ワールドカップ。本選に向けたアジア最終予選のグループ分けが決定したとき、日本はある新興勢力を警戒していたという。グループCに入った日本の対戦国は、オーストラリア、サウジアラビア、バーレーン、中国、インドネシアだった。
「過去の対戦成績や、その時点での世界ランクを考えて、日本がオーストラリアとサウジアラビアを最大のライバルと想定することは当然のことでした。しかし、秘かに警戒していた国があったんです。それは、世界ランク123位のインドネシアでした。アジア最上位である世界ランク15位の日本にとって、インドネシアは明らかな格下。それでも日本が警戒したのには、理由があります。それは、オランダからの“帰化組”がメンバーの大半を占めると予想されていたからです」(サッカーライター)
実際、2024年11月15日におこなわれた予選の初対戦では、メンバー23人中14人が帰化選手であり、そのうち12人がオランダからの帰化選手だった。
その後、インドネシア躍進の礎を築いた韓国人監督であるシン・テヨン氏を解任し、連れてきたのはなんと、パトリック・クライファート氏だった。バルセロナとオランダ代表で大活躍した“レジェンド”の就任は、シン・テヨン氏の解任を忘れさせるに十分だったが、時が進むにつれて、サポーターの感情も変わっていった。
「就任当初こそ、インドネシアのサポーターは期待していましたが、思ったほど実績を上げられずにいると、徐々に批判の声が上がり始めました。あまりにも多い帰化選手に対し『こんなのインドネシア代表じゃない!』といった声が大半を占め、試合中にサポーターからブーイングを浴びることも珍しくなくなっていったのです。
最終的に、チームはアジアのプレーオフになんとか進出しましたが、3戦全敗で敗退。初のワールドカップ進出はなりませんでした。その結果、クライファート監督もわずか8試合を指揮しただけで、インドネシアを離れることになりました。残念ながら、帰化選手をそろえたことは、成功とはいえないでしょう」(同前)
一方、帰化選手をそろえ、大成功を収めた国がある。南米ベネズエラの北、カリブ海に浮かぶ小さな島国であるキュラソーだ。
同国は北中米・カリブ海最終予選を勝ち抜き、みごと初出場を決めた。人口はわずか18万5000人。2018年のロシアワールドカップに人口40万人のアイスランドが初出場し、最少人口の国として話題となったが、キュラソーはその半分にも満たない人口なのだ。
「今回の予選に臨んだ代表メンバーは、全員がキュラソー出身ではなく、オランダ出身の選手なんです。もともと、オランダの自治領でもあったため、帰化選手が多いのは事実ですが、全員となると異例のことです。
じつは、キュラソーでいちばん人気のあるスポーツは野球なんです。ワールド・ベースボール・クラシックのオランダ代表にも、この島から多くの選手が選出されています。5大会連続で出場し、2013年と2017年にはベスト4に進出するなど、欧州での実績は間違いなくいちばんです。大谷翔平がエンゼルスに入団した年に、名ショートと評されていたアンドレルトン・シモンズもキュラソー出身。ほかにも、日本で活躍した元楽天のアンドリュー・ジョーンズや、元ヤクルトのウラディミール・バレンティンも同様です。
ワールドカップに初出場するということでサッカー熱が高くなれば、“スポーツ最強の小島”として認知されていくことも十分、考えられます」(スポーツライター)
初出場で“ジャイアントキリング”はあるのか──。
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