
菅野智之(写真:AP/アフロ)
2025年シーズン、念願かなって海を渡った35歳の“オールドルーキー”菅野智之。ボルティモア・オリオールズでの1年めは、10勝10敗、防御率4.64と、期待された数字ではなかったかもしれない。
しかし、チームがア・リーグ東地区で最下位ということを考えれば、まずまずの結果といえそうだ。
現在、菅野はFA権を取得したため、来季の所属先は未定だが、MLBでのプレーに関しては「100%そうです」とあらためて宣言している。
「オ軍としては、菅野の成績で貯金を作りたかったというのが本音でしょう。しかし、先発ローテーションが不安定だったなか、唯一、1年間ローテーションを守り続けたのは菅野だけですから、専門家からの評価は、数字以上に高かったんです。
オ軍残留、FA権行使による他チームへの移籍と選択肢があるなか、地元のボルティモアでは、残留をすすめる声が多いのです。なぜなら2025年オフ、オ軍は例年にない大補強をおこなったからです」(現地記者)
オ軍といえば、連続試合出場の世界新記録を持つカル・リプケンJr.に代表されるように、数々の名選出を輩出してきた。成績においてもリーグ優勝7回、地区優勝10回、そしてワールドシリーズ優勝3回と、すばらしい成績を残してきた名門である。
しかし、2017年から2021年まで、かなりの低迷期に突入してしまう。なにしろ、この5年間で年間100敗以上を3度も経験しているのだ。それでも若手や才能あふれる選手を使い続けたことで、ゆっくりとだが、チーム全体が力をつけていった。
力が結集し始めたのは、2022年のことだ。83勝で久々に勝ち越すと、翌年は101勝で地区優勝を果たし、2024年もワイルドカードでポストシーズン進出を果たした。
だが、今度は力をつけた選手たちがFAなどでチームを離れることになり、今季は地区最下位に転落してしまった。
「まるでジェットコースターのように成績が上下してしまうのが、オ軍の特徴でもあります。成績が下がれば、生え抜きの選手を育てて再建してきたわけですが、2026年に向けては、育成よりも他チームからの補強に力を入れることにしたようです。
まず11月18日(日本時間19日)にロサンゼルス・エンゼルスからテイラー・ウォード外野手をトレードで獲得。大谷翔平とも仲がいいことで知られる彼は、今季キャリアハイとなる36本塁打を放つなど、まさに絶頂期です。
12月1日(同2日)には、2024年に49セーブをあげてナ・リーグのセーブ王になったFAのライアン・ヘルズリーを、2年総額2800万ドル(約43億7000万円)で獲得。さらに12月11日(同12日)には、ニューヨーク・メッツからFAとなっていたピート・アロンソ内野手と、5年総額1億5500万ドル(約242億円)の大型契約まで結んだのです。
ここまで補強すれば、先発投手への援護も多くなるでしょうから、菅野に残留をすすめる声が大きくなったのです。うまく機能しなかった2025年シーズンで、菅野だけは年間を通してがんばった、と認めているのです」(同前)
巨人時代は「援護の少ない投手」として有名だった菅野。
「ルーキーイヤーの2013年の13勝を皮切りに、それ以降は勝ち星が落ちていくことが3年、続いたんです。ところが、防御率は1点台の後半から2点台前半と、すばらしく安定していました。
それでも勝てなかったのは、巨人打線の援護点が少なかったから。貧打でなければ毎年15勝以上をあげていただろうと予想されていましたし、いまごろ200勝は達成していたと思います」(巨人担当記者)
現在NPB136勝、MLB10勝の計146勝。強力援護が期待できる来季のオ軍残留となれば、名球会入りの条件である日米通算200勝も見えてくる。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







