
箱根駅伝を1位で終えた青学大の折田壮太(写真・桑原 靖)
青山学院大の3連覇で幕を閉じた第102回箱根駅伝。下馬評では、優勝争いは出雲駅伝で優勝の國學院大、全日本大学駅伝で優勝の駒澤大の両王者と、必ず箱根駅伝にピークを持ってくる青学大を中心におこなわれると見られていた。そこに早稲田大、中央大が絡むことも予想されたが、どちらにせよ混戦となるのが大方の見方だった。
ところが終わってみれば青学大の圧勝。往路、復路、総合のすべてで大会新記録を更新。2025年、第101回大会で自ら記録した合計タイム10時間41分10秒を大きく上回る10時間37分34秒の驚異的なタイムで3年連続9度めの優勝を果たした。
「青学大の年々上がっていくタイムも驚きなんですが、日刊スポーツが報じているように、それに合わせるように他大学のタイムが上がっていることも注目すべき点です。今回、オープン参加の学生連合を除き、最下位となった立教大のタイムは11時間5分58秒でしたが、この記録は2006年亜細亜大の優勝タイム11時間9分26秒を上回っているんです。もちろんコースも距離も変更があって単純比較はできません。しかし、この20年間で選手の質の向上が進む大学の陸上界に驚きの声が上がっています」(スポーツライター)
それと同時に、「箱根駅伝が今後の選手生活にとって重要な大会であることを証明している」と続ける。
「じつは過去には『箱根駅伝に出場することは、その後の競技人生にマイナスになる』と言われていた時代があったのです。その理由として、たとえば1年生が箱根駅伝で走るとなると、なかには19歳に満たない学生が20km以上走ることになります。まだ体ができていない選手にとっては負荷が大きすぎるとされていたんです。
もう一つが“燃え尽き症候群”でした。有望な選手でも箱根駅伝に出たことで満足してしまい、そこで引退したり、社会人になった後で競技記録が伸びなくなることが続いたのです。一時期、日本男子マラソンの記録十傑には、箱根駅伝不出場の選手が名を連ねる時代もありました。マラソンで伸びるためには、『箱根駅伝に出ないほうがいい』といった極端な意見まであったほどです」(同前)
しかし、近年のトレーニング法の進化により、考え方は大きく変わった。それは最新の男子マラソンの歴代十傑を見ればよく分かる。
「現在の日本記録保持者は2時間4分55秒を持つ大迫傑ですが、彼は1年生から4年生まで大学3大駅伝すべてに出場して好成績を残すなど、駅伝の顔としても有名でした。その彼はこれまでにマラソン日本記録を3度も更新していますが、最新は2025年12月7日の『バレンシア・マラソン』です。記録更新回数もすごいですが、そのときの年齢が日本人選手としては大ベテランの34歳だったことがさらに驚異的でした。大迫は箱根駅伝出身者はマラソンでも強いこと、さらに競技人生の長さも証明したことになります。
また、昨年2月の『大阪マラソン』で2時間6分5秒と学生記録を2秒更新し、十傑の十番目に入った青学大の黒田朝日は、今回の箱根駅伝第5区で異次元の走りを見せ、“シン・山の神”を襲名した逸材です。現在、マラソン日本記録十傑の10人は、すべて箱根駅伝経験者です」(専門紙記者)
今回の箱根駅伝でもっとも活躍した選手に贈られる「金栗杯」と総合優勝にもっとも貢献したMVPのダブル受賞に輝いた青学大の黒田。大会終了後には「実業団に入ってからもしっかり駅伝で活躍する選手を目指していきたいですし、さらにはマラソンでしっかり世界と戦っていきたい」と決意を新たにしている。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







