
1月7日にイベントに参加した黒田剛監督。処分についての「ノーコメント」との発言には、ネット上で批判が集まった
昨年4月に本誌が報じた、Jリーグ町田ゼルビア、黒田剛監督に対しての「激詰めパワハラ」疑惑。チーム関係者から日本サッカー協会(以下、JFA)に実名で通報され、Jリーグが調査に動いていると報じた。当初、株式会社ゼルビアの社長を務める藤田晋氏は、本誌の報道に対して「事実無根の嘘と憶測」などと否定していたが……。
それから約9カ月。Jリーグが下したのは、事実無根であるはずの告発内容を認定する処分だった。昨年12月23日、Jリーグがクラブと黒田監督に対し「けん責処分」を科したことが明らかになった。
調査では、「黒田監督が意に沿わない選手について『造反者』などと発言する」「練習中に特定のコーチを大声で怒鳴る」「懇親会でのスタッフへの暴言」といった行為が認定。さらに、「真実を語ることを躊躇させるような発言が黒田監督から発せられる」「調査の場にクラブの顧問弁護士を同席させる」など、クラブ側の真相解明に支障をきたす動きも明らかになった。
これについてゼルビアは、「ご迷惑をおかけいたしましたこと、心より深くお詫び申し上げます」と公式サイトに掲載。一方、翌24日には「パワハラについては認定されておりません」と強調し、度を超えた誹謗中傷に法的措置を取っていくと表明した。
年が明けて1月7日、黒田監督は初練習後に取材に応じ、「(今日は)過去を振り返ることなく、気持ち新たに頑張ろうという日」とし、処分については「ノーコメント。終わったということで線引きをした」と語り、非難を浴びた。
一件落着の様相を見せるゼルビアだが、告発者であるA氏は怒りが収まらないという。
「Jリーグが認定したのは3件。私が最初にJFAに告発した内容は10項目以上あり、すべてが認定されたわけではありません。認定には条件があり、衆人環視のなかでおこなわれたもの以外は認定されにくいようでした。だとしても、Jリーグの処分は甘いと思います。黒田監督の言葉を聞いても、何も反省していないなという印象です。実際、被害者の方々へはなんの連絡もないようです。被害を受けた事実がある以上、やはり被害者へ謝罪があってしかるべきではないでしょうか」
こうした疑問は、被害者本人からも聞かれた。チーム関係者だったB氏は、憤りを隠さずにこう話す。
「クラブからの謝罪はなく、連絡も来ていません。せめて、『迷惑をかけた被害者に申し訳ないです』というリリースだけでも出すべきでしょう」
元JFA裁定委員会副委員長で、元衆議院議員の松平浩一弁護士もこう指摘する。
「ゼルビアの対応を見る限り、被害者や被害を訴えた側が置き去りにされていると感じます。ハラスメント対応でまず最初に重要なのは、被害を訴えた方の尊厳の回復です。クラブの公式発表を見ると、ファンやスポンサー、株主など、外向きの謝罪ばかり。クラブが把握している被害者に、まず謝罪すべきです」
1月に入り、コンプライアンスに抵触する行為が確認されたとして、アビスパ福岡の金明輝監督の契約解除が発表された。金氏も、選手やスタッフに暴言を吐くなどの行為があったという。クラブは管理監督責任を取り、会長、社長、副社長の一人が辞任するという重い処分を科した。
「同じような行為をしていたのに、処分があまりに違う。ゼルビアの件では、当初Jリーグがチームに調査を丸投げしたことで、ゼルビアの顧問弁護士が聴取に同席する事態になった。最初からJリーグが介入していれば、こんなことにはならなかったはず。リーグとしての調査のあり方にも疑問が残ります」(A氏)
ゼルビア、そして黒田監督に対する責任追及は、これで終わってしまうのか。だが、あるサッカー関係者は、現在のJFAの動きについてこう語るのだ。
「JFA内部には、指導者ライセンスについて検討する『技術委員会』という部門があります。そこでは今回の処分を受け、黒田監督のライセンスを今後どう判断すべきか、継続して調査しているといいます」(JFAに問うと「詳細については回答いたしかねます」との返答)
当のゼルビアは、事の重大性をいかに考えているのか。本誌は今後、被害者に謝罪する方針はあるのか質問すると、上田武蔵COOから以下の回答が寄せられた。
「2025年12月23日に弊社より公表したプレスリリース、及び公益社団法人日本プロサッカーリーグ様のプレスリリース・メディア説明会にて公表ありました内容をもって、回答とさせていただきます」
被害者へのおざなりな対応に、「町田市民が誇れるクラブであること」という理念が空しく響く。
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