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プロ野球「令和のキャンプ」はコンプラ重視…「練習して、遊んで、門限破っては時代遅れ」球界OBも嘆く「働き方改革」の波

スポーツ 記事投稿日:2026.01.31 06:00 最終更新日:2026.01.31 06:00

プロ野球「令和のキャンプ」はコンプラ重視…「練習して、遊んで、門限破っては時代遅れ」球界OBも嘆く「働き方改革」の波

2024年2月、巨人のキャンプに臨時コーチとして指導した松井秀喜氏。他球団もレジェンドOBが、臨時コーチとして参加するケースは多い

 

 球春到来を告げる春季キャンプが2月1日、一斉にスタートする。今季、セ・リーグでは阪神が連覇に挑めば、パ・リーグではソフトバンクの3連覇がかかっている。また、横浜DeNAが相川亮二氏、東京ヤクルトが池山隆寛氏、千葉ロッテがサブロー氏を新監督に迎えるなど、注目すべき点は多い。

 

 プロ野球界の “正月” ともいわれるキャンプインに向け、選手たちは準備に余念がないと思われるが、春季キャンプ自体も昭和、平成、令和と時代を経るごとに様変わりしているという。

 

 そこで今回、春季キャンプの今昔物語を知るベテラン記者と野球評論家にその変貌ぶりを聞いた。

 

■球界に押し寄せる「働き方改革」の波

 

 まずは練習時間について。ヤクルトに始まり、巨人、阪神と人気球団でプレーした経験を持つ広澤克実氏は「練習時間は短くなっていますね」と語る。

 

「僕らのころは朝から夕方までグラウンドにいて、夕食後も素振りなどの夜間練習。もう一日中、野球をしていて、どちらかというと練習は強制に近い感じでしたね。今は量より質に変わってきた。ただ、質とはどういうことかをコーチ陣は『自分で考えてやりなさい』と言う。でも、若手がそれを言われても、できると思いますか? そこをちゃんと説明できない人が多いことも問題ですね」

 

 これには、スポーツ紙の記者も賛同する。

 

「質にこだわった練習内容になっていることは間違いないです。海外の情報がすぐ入る時代になり、MLBの効率のいい練習を取り入れている球団が多くなっています」

 

 また、球界にも「 “働き方改革” の波が押し寄せている」と、別のスポーツ紙デスクは語る。

 

「各球団とも練習をサポートするアルバイトの人を雇っているんですが、あまり練習時間が長くなりすぎると、契約時間の問題で過重労働になってしまうし、アルバイト料も当然高くなります。そのため、以前ほど練習時間は長くありません」

 

 ちなみに、広澤氏が語っていた夜間練習を廃止したチームもあり、現在の主流は早出特打ちだそうだ。

 

■藤川監督は若手に外出禁止令

 

 生前、野村克也氏は、阪神監督時代についてこうボヤいていた。

 

「夜ミーティングをするだろう。すると、選手たちは話半分で時計ばかり気にしている。あとでわかったんだけど、外ではタニマチやOBが飲みに行くために待っているというんだ。チームにとって彼らは敵ともいえる存在だったな」

 

 現在、夜の街へ繰り出す選手はというと……。

 

「昔はオフの前日に歓楽街に繰り出すのは当たり前で、他球団の選手を誘って飲むこともよくありました。巨人時代の清原和博さんなんかは、宮崎の夜の街に行ってドンペリを何本空けたとか、何十万円も豪遊しただとか、景気のいい話題を提供してくれました。豪傑と呼ばれた選手は、彼のあたりでいなくなりましたね。今の若い選手はあまりお酒を飲まないし、ベテラン選手も気を使ってか、後輩を誘うことが少なくなりました」(前出・スポーツ紙デスク)

 

 そもそもキャンプ中、外出に厳しい球団もあるのだとか。

 

「昨年、阪神の藤川球児監督は、4〜5年めくらいの選手には外出禁止令を出していました。家族が来ても、食事ができるのは宿泊先のホテル内だけ。これには、さすがに選手たちも不満だったようですが、なによりもタニマチ連中から『どないなってんのや!』と文句が出ていました」(前出・スポーツ紙記者)

 

 広澤氏は「キャンプのオフ前日に街へ繰り出すことが唯一の楽しみだったなあ」と懐かしそうに語る。

 

「もちろん門限はあったけど、そのあたりはうまくやっていましたよ(笑)。そうそう、巨人では家族を呼んでオフの前日に外泊もOKでした。ただ、休みの日に釣りは禁止。理由は、風邪をひくからでしたね(笑)」

 

■キャンプイン直前、弁護士やIT専門家の講義を

 

 広澤氏は現役引退後、解説者として各球団のキャンプ地をめぐるというが、最近の若手選手はあまり飲みに出歩かないことを認めたうえで、「それは、ある “事件” がきっかけだった」と続ける。

 

「2005年、ドラフト1位で日本ハムに入団したダルビッシュ有が、1年めのキャンプ中、未成年だったにもかかわらず、パチスロ&喫煙姿を写真誌に撮られた事件ですよ。あれから、球団の管理体制が大きく変わりました。

 

 未成年の選手にはプライベートのことに関しても厳しく指導するようになりましたし、先輩も連れまわして飲ませるなんてことは絶対しなくなったようです。もし発覚したら、先輩も厳しく処分されますからね。僕らのころは平気で飲ませていましたけどね(笑)」

 

 さらに、令和の時代に入り、よりコンプライアンスを重視するようになった。キャンプイン直前に弁護士やIT関連の専門家などを呼び、選手としての心構えやプライベートの過ごし方、SNS対策などをじっくり講義するようになったという。

 

「以前は、講義の内容は反社や美人局(つつもたせ)に関しての話が多かったですね。実際に被害に遭った選手もいましたから。その後、携帯電話が普及すると、野球賭博が問題化されるようになりました。今のような予告先発もなかった時代なので、情報を得るために直接選手に電話してくる人もいたほどです。だからこそ、登録されていない番号には出るなときつく言われました。球場に来たら疑われないためにも『携帯にはいっさいさわるな』とまで言われたほどでした」(同)

 

■OBが現役選手と接するには事前申告が必要

 

 もうひとつ大きく変わったのが、キャンプに来るOBの扱いだという。以前は、グラウンドで指導するOBの姿が当たり前の光景だったが……。

 

「僕は3球団でプレーしましたが、巨人のOBがいちばん多く来られて、指導も受けました。重鎮というか、キャラの濃い方が多かった(笑)。多くのOBがそれぞれ違ったことを言うと、若い選手が戸惑うのは確か。それをなくすために、球団の広報が守ってくれるようになりました。OBでも選手と接するには事前申告が必要。それだけ、神経質になっています」(同前)

 

 極端なのが阪神だという。

 

「阪神のOBがいちばん口を出すからです。とくに大物新人が入ってくると、近づくOBが増える。『俺のアドバイスで育った』と言いたいからです。でも、悩んでおかしくなる選手もいます。そこで球団は『ある程度聞くだけにしろ』と。選手も真剣な顔をして『はい』と言いながら聞き流しているようです。

 

 しかも昨年からは、藤川監督がOBとの接触を禁止したんです。ベテランのOBほど『やることがない』と嘆いています」(前出・スポーツ紙デスク)

 

 コスパ&コンプラ重視、さらに “選手ファースト” の環境で、今年も新たなスターが誕生するかーー。

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出典元: 週刊FLASH 2026年2月10日・17日合併号

著者: 『FLASH』編集部

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