
2月23日、侍ジャパン宮崎合宿での井端弘和監督。この日はソフトバンクに0-4で敗北を喫した(写真・桑原靖)
「俺も含めて、野球選手っていう生きものはな、ワガママなんだよ。自分のことしか考えない。でも、そういった選手たちを気持ちよくプレーさせるのも監督として大事な仕事のひとつなんだ」
名将・野村克也氏が生前、球界に残した金言だ。
そういった意味で、近藤健介外野手(ソフトバンク)に対する井端弘和監督の采配は、間違っていたのかもしれない──。
侍ジャパンの主軸として期待されていた近藤が、不振から抜け出せていない。「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の1次リーグ4試合中3試合にスタメン出場し、12打数ノーヒット2三振と、安打はただの1本も打てていない。あの“打撃の天才”と呼ばれる近藤がだ。1次リーグ最終戦のチェコとの一戦では、出番すらなかった。
「栗山英樹氏が日ハムの監督を務めていたとき、我々、担当記者に対し、ことあるごとに『コンちゃんは天才だから』と褒めまくっていたんです。もちろん、近藤をアピールするためのひとつの手段だったのかもしれませんが、その打撃技術は疑いようがありませんでした。あの大谷翔平でさえ『近藤さんは天才ですから』と認めていましたからね」(日ハム担当記者)
この2人だけではない。多くの野球選手が近藤の実力を認め、しかも人望も厚い。大谷の日ハム時代の先輩ということもあり、WBCの代表メンバーに初選出された選手と、大谷の橋渡し役も務めていた。練習ではつねに大谷の横に位置し、あいさつや話しかけてくる選手と大谷の間に入っている近藤の姿がよく目撃されていた。
野球以外に“多忙”な近藤だったが、じつは今季のキャンプイン前から、あることを訴えていた。
「侍ジャパンでの打順のことですが、近藤は大谷のあとに打つことを『嫌ですね』とはっきりと言っていたんです。なぜなら、日本のチャンスの場面で大谷に回れば、勝負を避けられることが予想されます。大谷が1番打者なら、2番に入る打者の重要性はかなり高い。近藤は、その第一候補に見られていたんですが、もっとのびのびと打ちたかったのでしょう。2026年1月の時点から、多くのテレビ番組で『大谷の次は打ちたくない』と井端監督にアピールしていたのです。
そのアピールが実ってか、大谷が合流して初の強化試合となったオリックス戦では、1番近藤、2番大谷で臨みました。このときはノーヒットでしたが、表情は明るかったと記憶しています。しかし翌日の阪神戦、本番の台湾戦、韓国戦と大谷が1番に座り、2番にはあれほど嫌がっていた近藤を置いたわけです。井端監督へのアピールは届かず、この辺りで近藤は精神的にかなりダメージを受けていたと思います」(同前)
さらに近藤のメンタルをへし折る出来事が起こったのが、第3戦の豪州との戦いだった。この日、1番は大谷で、近藤は初めて3番に入った。試合は豪州の繰り出す投手に手を焼き、7回表まで1-0で豪州がリード。だが、7回裏に吉田正尚外野手(レッドソックス)の逆転2ランが飛び出し、試合をひっくり返す。なおも8回裏には2点を加え、4-1で迎えた一死満塁のチャンス。近藤に打順が回ってきた。
「井端監督は近藤を心配しつつも、『1本出れば調子は戻る』と見ていたんです。近藤にとってはまさに、という場面であったのですが、井端監督は森下翔太外野手を代打に送りました。結果は最悪のダブルプレー。豪州を突き放すことはできませんでした。代打を告げられ、ベンチで戦況を見つめる近藤の表情は、悔しさと不甲斐なさからか、目に涙を溜めているようにも見えました」(スポーツライター)
短期決戦では調子が悪い選手は外すのが鉄則だが、自身の采配で近藤は不調に陥ったともいえる。近藤を外すのか、再び起用するのか。準々決勝での井端監督の采配が注目される。
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