
井上尚弥(写真・共同通信)
5月2日、日本ボクシング史上最多の5万5000人を集めておこなわれた『THE DAY』で、4団体(WBA、WBC、IBF、WBO)統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(大橋)は、“最強の挑戦者” 中谷潤人(M.T)を判定で退け、王座防衛を果たした。
世紀の一戦と謳われた両者の激突は、前評判に違わぬものとなった。瞬き厳禁の攻防に大観衆は酔いしれ、試合終了と同時に観衆も疲れたに違いない。となれば、選手の疲労感は想像以上だ。激戦後に井上がInstagramで明かした「しばらくいっぱい休みます」という言葉は、“王者” の偽らざる気持ちだったのだろう。
「2025年、井上は世界王者になって初めて年間4試合の防衛戦をこなしました。その疲労は当然あっただろうし、しかも彼にしては珍しい12ラウンド判定が2試合も続けてありましたから。
そこにきて、2026年最初の試合が中谷戦ですからね。高度な技術戦でもあったので、井上は『脳のスタミナを削られた』と語ったほど。しばらく休みたい気持ちは十分理解できます」(スポーツ紙ボクシング担当記者)
しかし、世界中から “モンスター” と恐れられる一方、世界中の猛者の標的でもある井上には、長い休息は与えられないのかもしれない。
「次々と対戦を希望する選手が名乗りをあげています。なかでも、フライ級とスーパーフライ級の2階級を制したジェシー “バム” ロドリゲスとの一戦は、世界中が期待しています。
23勝全勝(16KO)と戦績も申し分なく、最も権威のあるボクシング誌『ザ・リング』が選ぶパウンド・フォー・パウンド(PFP)でも、2位の井上に対して、4位と上り調子の選手です。
6月13日にWBA世界バンタム級タイトルマッチに挑みますが、勝てば井上戦の可能性が一気に高まるでしょう。バム陣営も『(井上に)バムが負ける要素は微塵もない。早いうちに実現させよう』と挑発しています」(前出記者)
ただ「実現は簡単ではない」と語るのが、長くボクシングを取材してきたスポーツライターだ。
「バムは、一階級上げてバンタム級の世界戦に挑むわけですが、勝って井上に挑戦できるとしても、さらにもうひと階級上げなければいけないわけです。
バムとしても、スーパーバンタム級で1試合こなした後で井上に挑戦したいのが本音でしょうし、井上としてはそこまで待てるかどうか疑問ですね。
実現するなら今年中ということになるのでしょうが、井上としてキャリアの終着点をどこに置いているのかも気になるところ。彼も4月で33歳となりましたから」
ボクシングにおいても選手寿命は伸びたと言われているが、33歳は決して若くはない。そこで思い出されるのが、本誌記者が井上本人から聞いた “未来予想図” だ。
2017年10月、あるスポーツイベントで、井上にインタビューできる機会をえた。当日、井上は第1子となる2915グラムの男児が誕生してから数日だったこともあり、表情はつねに和やかで、饒舌でもあった。
当時、WBO世界スーパーフライ級王座を6度防衛していた井上に、「最終的にどの階級の王座を目指しているのですか」と聞くと、「フェザー級までです」と回答。続けて、引退時期について聞くと「現役生活は35歳までと決めています」と、これまたハッキリと答えている。
スーパーバンタム級にとどまり、バムの挑戦を受けるのか。それとも階級をフェザーに上げるのか。9年前の “未来予想図” がいまも心にあるなら、フェザー級に転向し、日本人初となる「世界5階級制覇」を目指すことになるが、はたして──。
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