
トロント・ブルージェイズの岡本和真(写真・アフロ)
トロント・ブルージェイズ所属の岡本和真内野手の勢いが止まらない。5月5日(日本時間6日)、敵地で行われたレイズ戦に3番・三塁で先発出場した岡本は、初回の第1打席で2試合ぶりとなる今季10号を放った。
5月に入り、打撃が上向いてきたことは明らかだ。5試合で打率.333、5本塁打、8打点と強打を誇るブルージェイズ打線の主軸として十分な成績を残している。
「開幕当初こそメジャーリーガー特有の動くフォーシームや速さに戸惑いがありましたが、徐々に克服。いまやポイントゲッターとしてブ軍ナインやファンも認めています。彼の素晴らしいところは、結果が伴わなかった時期も慌てず騒がずといったところ。毎日、学びの姿勢を前面に出し、あらゆるものを取り入れようとしています。これも、ナインから受け入れられている理由でしょう。三塁の守備も素晴らしく、難しいゴロを捌いて一塁でアウトにしたとき、ウラジミール・ゲレーロJr.一塁手がファーストミットで岡本を『ナイスプレイ』と指す仕草は、もはやブ軍の定番になっています」(現地記者)
現地記者が指摘するように、結果が伴わないときでも平静さを保つ姿勢は、いつからのことなのか。巨人担当記者がひも解く。
「岡本は2014年にドラフト1位で入団した時、大きな期待を持って迎え入れられた半面、そのプレッシャーは相当なものだったはず。実際、入団からの3年間で1軍の試合に出られたのは35試合だけで、本塁打もわずか1本でした。多くの選手はこの重圧から逃れるために諦めたり、野球以外のことに走ったりするもの。巨人はドラ1選手にそれくらいプレッシャーをかけます。
でも、岡本は地道に努力し続けた。なかなか結果が出なくても、その姿勢を変えなかった。それが4年めの打率.309、33本塁打、100打点の大躍進につながった。当時の球団関係者が言っていましたが、『彼は周りの意見に流されない。いいところだけ取り入れ、あとは聞き流すことができる』と。周囲に惑わされない、気にしないわけで、これは言い換えるとものすごく“鈍感”でもあるんだと。そうした彼の性格が、今の躍進につながっているのでしょう。マイペースを貫けば、日本とは異なるアメリカの環境に適応するのも難しくないでしょう」
その“鈍感力”を巨人時代に目の当たりにしたのが、あるスポーツライターだ。
「岡本は巨人の三塁手として2度ゴールデングラブ賞を獲得しているんです。いわば守備の名手ですよ。でも、チーム事情もあって一塁手にコンバートされたり、レフトを守らされたこともあった。普通なら守備の名手のプライドからキレてもおかしくないわけですよ。
ところが彼は、『外野を含めていろんなところを守ることができれば、将来MLBへ移籍するときにユーティリティ・プレーヤーとしてアピールできる』とむしろプラスに考えたんです。これこそが“鈍感力”の真骨頂だと思いますね。しかも、一塁手としてもゴールデングラブ賞を一度受賞してますから。凄いことです」
じつは、3月27日(同28日)のMLBデビュー戦でも“鈍感力”が発揮されていた。7回に初安打を放った岡本が9回に次の打席に入る際、本拠地に集ったブ軍ファンはスタンディングオベーションで迎えた。ところが、日本人ルーキーは打席を外して帽子を取る仕草も見せない。試合後、その理由を問われると「集中していたので気づかなかった」と言ってのけた。
「岡本は入団会見で決め手となった理由を聞かれたとき、『娘に30球団のロゴを見せたときに、最初に“これがかわいい”と選んだのがブルージェイズでした』と語り、笑いを誘いました。熱望していたMLB入りの決め手が“娘の助言”とは誰も思っていないわけですよ(笑)。でもこれを言うことでファンは親しみを持つ。人の心を掴むことにも長けているのかもしれません」(前出・スポーツライター)
何があっても動じない和製大砲の快進撃は、まだ始まったばかりだ。
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