
夏場所で準優勝となった大関・霧島(写真・JMPA)
5月24日に幕を閉じた大相撲夏場所は、小結・若隆景が、大関・霧島との3敗同士の優勝決定戦を制し、2度めの優勝を飾った。若隆景の優勝は2022年春場所以来で、史上3位のブランクとなる25場所ぶりの優勝となった。
今場所は、場所前に横綱・大の里と大関・安青錦が休場を発表。2日めには横綱・豊昇龍、12日めには大関・琴櫻までもがけがで休場に追い込まれた。結局、2横綱3大関のうち、大関・霧島以外が休場となり、さらに小結・高安までも出場しない異常事態となっていた。
この危機を救ったのが若隆景の2度めの優勝ということになるが、やはり上位の欠場を落胆する相撲ファンは多いようだ。それは、相撲協会も同様だろう。
「上位陣の欠場に協会は頭を痛めています。それは、千秋楽の幕内取組前におこなわれる、理事長による協会挨拶に表れていました。ふだんなら日本相撲協会理事長が三役以上の力士と一緒に土俵に上がって挨拶するため、土俵上は多くの力士で占められるわけです。
ところが、今場所は、大関・霧島、関脇・熱海富士と琴勝峰、小結・若隆景の4人しかいない異常事態となりました。明らかに寂しい挨拶でしたね。
八角理事長は連日の満員に感謝し、力士の奮闘にねぎらいの言葉を述べましたが、上位陣の休場に苦言を呈す異例の挨拶となってしまいました」(スポーツ紙担当記者)
いまから30年ほど前、大相撲は空前のブームとなっていた。若花田(のちの横綱・若乃花)と貴花田(のちの横綱・貴乃花)が中心となり、いわゆる “若貴ブーム” に火がつき、場所が開催されればいつも満員。テレビの中継では、瞬間視聴率が60%を超えることさえあった。
そのブームが、いままたも来ているというのだ。会場の満員御礼は2023年初場所6日めから続いており、今夏場所の5日めでちょうど300日連続となった。懸賞金も同様にすごい。夏場所の懸賞本数は、過去最多となるの4241本となった。そのブームの要因は何なのか。
「東西に横綱がそろい、大関陣も充実していること。さらに数年前のように優勝争いが “白鵬一強” ではなく、場所によって誰が優勝するかわからないことも熱狂に関係したと思います。つまり、すべては土俵の充実だと。その意味で休場の多い上位陣には頭を痛めているようです。
だからこそ、来場所に横綱がかかる霧島には、大きく期待しているようですね」(同前)
それは、場所後の協会の言葉にもよく表れていたという。
「横綱昇進の条件は、大関として『2場所連続優勝、またはそれに準ずる成績』とあります。今場所で霧島は優勝決定戦で敗れたとはいえ準優勝であり、優勝に準ずる成績です。昇進の条件に照らし合わせれば、来場所は優勝すれば横綱が確実と見られていた。
ところが、場所終了後、日本相撲協会で番付編成を担う審判部の浅香山部長(元大関・魁皇)は、優勝だけではなく『レベルの高い優勝が問われる』とあえて厳しい言葉を発したわけです。ここ最近の霧島の充実は誰もが認めるところなのにです。
これは異例の発言ではありましたが、条件つきの優勝を求めるのは、それだけ霧島に強い横綱になってもらいたいということでしょう」(スポーツライター)
第2次ブームが来るなど大相撲の人気は定着しているが、土俵の充実を考えた場合、日本相撲協会は相当の危機感を持っているようだ。
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