
ダイヤモンドバックス戦に先発登板し、6回無失点で6勝目をあげたドジャースの大谷翔平(写真・共同通信)
6月3日(日本時間4日)、アリゾナ・ダイヤモンドバックス戦に先発したロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平は、6回を2安打、6奪三振、無失点の快投を見せ、6勝め(2敗)をあげた。防御率は驚異の0.74となっている。
とにかく安定感がずば抜けている。5月に入って今回の登板まで計5試合に先発して31イニングを投げているが、自責点はわずかに3しかない。
同時にホームランこそ量産とはいかないが、6月に入っての4試合すべてで複数安打を記録。一時は2割5分を切っていた打率が、いつの間にか3割超えの.301となっている。
こうなれば3年連続5回めのMVPはもちろんのこと、最高の投手に贈られるサイ・ヤング賞(CY)とのダブルタイトル獲得に期待がかかる。しかし、長年日米の野球を取材してきたスポーツライターは「MVPは当確も、CYはいまのままでは厳しい」と語る。
「日本でその年に最も活躍した投手に贈られるのは沢村賞ですが、選考基準が15勝、150奪三振、10完投など、7項目があります。投手の分業制が確立された昨今、すべてをクリアするのは難しいですが、より近い成績を収めた投手が獲得する流れとなっています。
一方、CYには明文化された数字の条件がなく、レギュラーシーズンの成績をもとに全米野球記者協会所属記者の投票で各リーグ1名ずつ選ばれます。どれか一つの成績が、というのではなく、防御率、奪三振、投球回などを総合評価することになります。
ただし、総合評価とはいえ重視される部門はあります。その一つが投球回数です。MLBの規定投球回数は、試合数と同じ162回。この数字を超えなければいくら勝ち星や防御率が素晴らしくとも受賞はできないと言われています。やはり、長い回数を投げ、チームに貢献することが求められるのでしょう。
過去、規定投球回数を下回って受賞した投手は複数いますが、すべてクローザーなんです。先発型でもっとも投球回数が少なく受賞したのは、2021年のミルウォーキー・ブルワーズのコービー・バーンズの167回でした」
そして、この投球回数こそが、大谷がCYを受賞するための最大の壁になるとスポーツライターは続ける。
「この数字が目安となるのですが、大谷が投球回数を超えたのはロサンゼルス・エンゼルス時代の2022年の一度だけで、166イニングでした。やはり二刀流で規定打席をクリアし、規定投球回数に達するのがいかに難しいかがわかります。
現在、防御率はただ一人0点台の0・74ですが、規定投球回数に1イニング足りないため、幻の記録となっているのです。ここをクリアしなければ、ダブル受賞は無理ということになります」
現地でも、大谷の投球回数については、さまざまな意見が交わされているという。
「5月下旬、MLB公式サイトが専門家によるCYの模擬投票の結果を発表しましたが、大谷は残念ながら1位クリストファー・サンチェス(フィラデルフィア・フィリーズ)、2位ポール・スキーンズ(ピッツバーグ・パイレーツ)、ジェイコブ・ミジオロウスキー(ブルワーズ)に次ぐ4位でした。
この4人の成績は、みなすばらしいものでしたが、決定的に違ったのが、大谷だけが規定投球回数に達していない、ということです。この時点でクリアしていれば、順位も大きく変わったでしょう。
6勝めをあげたダ軍との試合で、あと1イニング投げていれば規定回数に達していました。大谷は二刀流で休養が必要なこともあり、6回を終えた時点で『大差がついていたから代えた』とロバーツ監督は語っていましたが、こうしたことが続くとクリアはできない。
現地では二刀流の大変さを十分にわかったうえで、それでもCYを狙うなら考えを改めるべきとの意見が多数を占めています。ライバルたちが中4〜5日で投げるなか、大谷だけは中6日が定番。しかも余力を残しての降板もあるわけで、ド軍では大谷に対し『過保護だ』といった意見まで出始めています」(現地記者)
ナ・リーグのCY争いはこれまでにないハイレベルな戦いとなっているだけに、大谷に必要なのはオーバーワークさえ厭わない「覚悟」かもしれない。
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